すべての人は潜在的にサメが好き!? 人食いモンスターでは決してない「真」のサメの魅力を知ってほしい
シロワニというサメと筆者

微睡む中、なんとなく首もとにむず痒さを感じ、さすりながら寝返りを打った。ああ、またやられたと思いながら、布団の中で手の平についた血の量を確認し、首もとの傷の大きさを推測し、微笑む。

この日はオオメジロザメという種類のサメの歯のネックレスをつけていた。歯の形は、一辺が25mmほどの正三角形。その二辺に鋸歯(きょし)と呼ばれるノコギリの歯のようなギザギザがついている。夜中に寝返りでもうったときに、歯が横滑りして私の首もとを切ったのだろう。

サメの歯はお守りになるとも言われており、私は基本的にはサメの歯のアクセサリーは24時間外さないことにしている。よって、しばしばカミソリのように鋭いサメの歯による傷で、首もとを血まみれにして目覚めるのだ。

これと同じタイプの歯を持つイタチザメは、ウミガメの甲羅をも真っ二つにしてしまうほど鋭利の歯を持っている。朝起きると、首もとが血まみれになっているのは、サメ好きにとってはさして珍しいことではない。だが、サメの歯の鮮やかな切れ味には、いつも惚れ惚れしてしまう。

イタチザメのアクセサリー 提供:宮古島海工房

日本にサメ好きは10万人以上いる!?

私の肩書きはシャークジャーナリスト。サメを専門とした情報発信およびサメ好きが集まるコミュニティ「サメ談話会」を運営している。

小さい頃から水生生物に興味を持ち、金魚、ザリガニ、ピラニアを飼育していた。進学した東海大学海洋学部の購買で手にした「サメ・ウォッチング(V.スプリンガーJ.ゴールド著、仲谷一宏訳・監修、平凡社)」がきっかけで、サメに非常に興味を持った。本物のサメに会いに行くために、ダイバーとなり、実習で訪れた小笠原諸島父島でダイビング中に遭遇したサメをみて感動したことで、大学の研究テーマをサメに決めた。

卒業研究では、小笠原諸島周辺海域にはどんなサメが生息しているのかを調査し、大学院ではサメの内蔵に寄生しているムシが気になって、毎日、サメの胃や腸の中に手をいれてサメの腸管内に寄生するサナダムシを採取していた。小さなムシを探す時は内蔵に顔を近づけるので、前髪がいつも胃内容物や胃液にまみれてネバネバになり、それが目に入るととても痛かったことが一番の思い出だった。

「サメが好きだけど、サメの話題を共有できる友達がいない。」

日本で唯一のサメ好きが集まる定期コミュニティ「サメ談話会」は、こんな私自身の困りごとから生まれた。

サメは海に囲まれた日本では認知度が高い生物である。その証拠にサメといって、どんな動物かイメージが湧かない日本人はほとんどいない。また、水族館では子どもたちの人気生物の上位に常にランキングされている。サメがもしも、無垢な子どもたちを魅了する力を秘めているとしたのなら、「すべての人は潜在的にサメ好きだ」と言っても過言ではないのかもしない。

そうであるとするならば、サメに関心のある人、いわゆるサメ好きは国内だけでも1万人、いや10万人以上いるのではないかと思うのだが、不思議なことに、日常でサメ好きに出会ったことがほとんどない。

犬の愛好家や車の愛好家に出会うことは難しくないにも関わらず、なぜサメの愛好家はその存在確認すらも難しいのであろうか?

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