経済・財政
20ヵ月連続で貿易赤字。もはや「円安で製造業復活」は幻想だ
円安で輸出は復活傾向だが、輸入額増が貿易収支を悪化させている         photo gettyimages

日本の貿易赤字が続いている。財務省が3月19日に発表した2月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、8003億円の赤字となり、20カ月連続の貿易赤字となった。

菅義偉官房長官は先行きについて、「輸出を中心に改善されていくだろうと考えている」と述べていたが、円安によって輸出が増えると期待してきた経済産業省の内部からも、いわゆる「Jカーブ効果」は出ないのではないか、という声が強まっている。

円安で輸入額が増えすぎた

「Jカーブ効果」は円安になってしばらくの間は貿易収支が悪化するものの、その後しばらくすると大幅に収支が改善するという見方。グラフにするとJのようになることから、そう呼ばれる。

経済産業省は日本の製造業が不振を極めたのは円高による輸出減が主因とし、アベノミクスで円安が進めば輸出は復活するという立場だった。だが、実際には円安になっても輸出はなかなか増えないばかりか、輸入品の価格上昇で貿易収支の赤字から抜け出せなくなっている。これはいったいどういうことなのだろうか。

3月13日に確報値が発表された2013年の年間の貿易統計を見ると面白いことが分かる。1年間の輸出額は69兆7741億円と3年ぶりの増加となり、率にして9.5%も増えた。

ところが、輸入が81兆2425億円と14.9%も増加。この結果、輸出から輸入を指し引いた貿易収支は11兆4683億円の赤字となった。

年間の貿易赤字は3年連続で、赤字額は2011年2兆5647億円→2012年6兆9410億円と年々大きくなっている。つまり、円安によって輸出額の伸び以上に輸入額が増えてしまっているのである。

9.5%と輸出額も増えているが、問題は中味だ。端的な例は自動車。輸出額は10兆4125億円と12.9%も増えたが、台数ベースでは逆に0.4%減った。つまり円安によって収益性は改善したが、輸出量はまったく増えなかった。

半導体電子部品も金額では9.1%増えたが数量ではわずか1.1%の増加。DVDなどの映像機器に至っては輸出数量も27%減り、金額も20%減少した。

円安になれば、海外での価格競争に有利になるので、市場シェアを獲得し輸出数量も増える――。従来の日本の「輸出立国型経済」を前提にすれば、そうなるはずだった。ところが大きく目算が狂ったのである。

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