量子コンピュータ ビックデータ
D-Waveの量子コンピュータは本物なのか? ---来月に予定される実験で、大勢が判明するとの見方も

カナダのベンチャー企業、D-Wave Systems社が開発したとされる"量子コンピュータ"。ミクロ世界を支配する量子力学に基づく最初のコンピュータとして世界的な関心を集める一方で、それを頭から否定する専門家もいるなど、この数年間、激しい論争の的となってきた(参照: http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36025)。

が、ここに来て若干、D-Wave側の形成有利となってきたようだ。

●"Quantum Computing Research May Back Controversial Company" The New York Times, MARCH 24, 2014

上の記事によれば、英ロンドン大学や米南カリフォルニア大学の科学者らが先日、共同で発表した論文が、D-Wave製コンピュータの量子性を裏付ける、かなり強力な証拠となるかもしれないという。

もっとも同論文の共著者には、以前からD-Waveを支持する論文を何度も著してきた科学者らが含まれる。言わば「D-Wave陣営」に属する専門家が書いたものなので、この論文だけから「D-Waveは本物の量子コンピュータ」という結論を下すことはできない。

実際、これまで、この種の論文が発表された後には、必ずD-Waveを否定する陣営から「あれでは科学的な証拠にはならない」という主旨の論文が発表されてきた。今回も同じことになるかもしれない。

周辺状況から判断するとD-Waveが若干有利

今回の論文(http://arxiv.org/abs/1403.4228)は米コーネル大学のホームページ上で、誰でも無料で読めるようになっている。が、これを我々一般人が読んだところで、とても理解できる代物ではない。結局、量子物理を専門とする科学者の見解に従うしかないのだが、彼ら専門家の間でも意見が割れているとなると、一般人にはお手上げとも言える。

しかし、論文の中身はともかく、それを取り巻く周辺状況から、D-Waveの真贋を(多少なりとも)評価できるかもしれない。これについて冒頭のニューヨーク・タイムズ記事によれば、以前はD-Waveを真っ向から否定していた専門家が、最近、態度を軟化させてきたという。

たとえば米カリフォルニア大学バークレー校の某教授は、今年1月にD-Waveの量子性を否定する論文を発表したばかりだが、その後、D-Waveの関係者と議論した末、「大分、彼らに対する印象が良くなった。彼らは自分たちの正当性を証明するために、ほんとうによく頑張っている」と述べている。

これはD-Waveにとって吉兆だろう。否定的な科学者だって人間だから、そう簡単に自分の意見を変えるわけにはいくまい。むしろ最初は相手(D-Wave)の姿勢に共感するところから入って、徐々に相手の見方に感化されていく。仮にD-Waveが本物だとしても、そのような展開を辿るのではなかろうか。

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