【国土交通 その5】 発想を転換し過疎化を肯定的に捉えよ! 地方都市への集住を促進し、都市化率を上げる政策を!

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中国やインドといった各国では、農村など郊外に住む人々を都市に移住させ、都市化率を上げることが政策目標として明確化されている。つまり、(裏を返せば)過疎化を進めることを政策目標に据えているのだ。

例えば中国では、都市化が内需や消費の拡大によって経済成長の牽引役となることが強調され、2020年までに都市化率を60%、2030年までに65~70%に引き上げるという目標を明示している。今後10年間で40兆元(約640兆円)を投じ、約2億人(農村人口)を都市に移住させる計画を立てている。

なぜこれらの国が都市化=過疎化を目標にしているかと言えば、都市化は経済成長を牽引するからだ。都市への人口集中によって一定の市場規模が形成され、地域経済が活性化し、雇用も生まれる。

日本では、サービス業の競争力が低いと言われるが、これは都市化率が低いことが原因だそうだ。規模の小さい町がたくさん点在しているため、飲食業やクリーニング業、小売業などの個人向けサービス業の利益率が低く、その結果、雇用が生まれずに非効率なまま放置されることとなる。

今後人口減少と高齢化が進む日本のような先進国においても、都市化率を上げることは、行政サービスの効率化・質の向上、高齢化社会への対応などの点で必要な政策だ。

今後の日本の国土政策は、過疎化を肯定的に捉え、地方においても都市への集中・集住を大胆に促進し、コンパクトシティを形成することを基本とすべきであろう。

1. 都市化率の向上の戦略を策定し、数値目標を明確化せよ!

実は、日本の都市化率は先進国に比べて低い。日本の総人口に占める人口集中地区の割合は66%(2005年)で、先進国の都市化率平均(70~80%)以下となっている。また、日本に1727ある市町村のうち、統計の変動もあるが、おそらく1300以上の市町村が人口10万人以下、1100以上が人口5万人以下であるのが現状だ。

これは、日本がとってきた政策に起因するといえよう。日本の国土政策の考え方は長年「国土の均衡ある発展」として、各地方を万遍なく開発することを基本としてきた。人口や経済の規模が拡大し、地域格差や過密・過疎問題が深刻であった時代には、大都市集中を抑制し分散型国土を目指す政策は合理的だったのかもしれない。

しかし、そもそも、国土の発展と称して地方を必死に開発して自然を壊すことは、観光資源や自然環境の破壊によって国力の減退を招くことだとも言えよう。むしろ、人口や産業の配置を都市に集中させ、過疎化していく地域は積極的に過疎化させていくほうが、自然環境資源、観光資源といった日本の資源を守るのにも理にかなう。

さらに、今や日本は人口減少社会だ。日本の地方都市では、今後、急速に人口が減少し、30年後の人口は1970年頃の人口と同程度(現在の約2割減)となる見込みだ。

このままでは、地方におけるサービス業など地域経済がいっそう低迷し、雇用低下、企業撤退を引き起こすだけでなく、一定の人口集積に支えられた各種の都市機能(医療・福祉・商業・子育て支援等)や公共交通が成立しなくなってしまう。

さらに、社会保障費や公共施設・インフラの維持更新費用の増大、住民税収や固定資産税収の減少により、行政サービスも質の低下を余儀なくされる。

都市化率を上げ、人口が集中したコンパクトシティの形成が進めば、

●人口集積によりサービス業などの地域経済の競争力が上がり、雇用が増える
行政サービスの効率的な配分が可能となる
●バリアフリー化や医療施設などの高齢化社会への対応やインフラ維持管理費などの社会的コストの低減につながる
●多くの人が生活の中で徒歩を活用するようになれば、健康長寿社会につながり医療費の削減も見込まれる
●都市部への居住誘導が地価の維持に寄与し、固定資産税収にも寄与する

といった多くの効果が見込まれるのだ。

したがって、政府として都市化率の向上に向けた戦略を策定し、市町村の目標人口の設定や人口集中地区に居住する人口割合の目標設定などの数値目標を明確化すべきだ。

例えば人口集中地区居住割合を今後20年で75〜80%に引き上げる目標や、市町村人口の下限を当面人口5万人とし、長期的には人口20〜40万人の基礎自治体で構成される日本を目指すことも真剣に検討すべきであろう。

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