[虎四ミーティング~限界への挑戦記~]
村主章枝(フィギュアスケーター)<後編>「日本らしさの追求」

スポーツコミュニケーションズ

“心で滑る”スケーティング

二宮: これまで長く現役を続けられている村主さんですが、今までスケートをやめようと考えたことは?
村主: “練習を休みたいな”と思うことはあっても、フィギュアスケートをやめたいとまで思ったことはないですね。

二宮: 中でも一番辛かった時期は?
村主: 昨年は少し上向きになって、ちょっとは楽になりましたが、バンクーバー五輪の前後2、3年はきつかったですね。スケート靴で苦労しました。いろいろと試してはいたのですが、なかなか合うものがありませんでした。たとえば、かかとの左右の高さが0.1ミリでも違うと違和感を覚えてしまいます。

二宮: その僅かな差でも、ジャンプが微妙に変わってくると。
村主: はい。エッジの振り方や氷につける時の角度の付け方が変わってくるんです

二宮: それほど繊細なんですね。また氷との相性もあるんでしょう?
村主: そうですね。私はおそらく他の選手以上にいろいろなことを敏感に感じてしまうので、大変ですね。

二宮: 村主さんの演技には“和風美”みたいなものを感じます。それは村主さんにしか表現できないものなのかなと。
村主: 皆さんに“村主ワールド”とよく言われるのですが、私にしかできない面白い表現ができればいいなと思っています。そのためにもどう心で滑るか。振付師のローリー・二コル氏にも「Please skate from your heart」とずっと言われてきました。“心でスケートをする”。そういったことを、演技を通して伝えていきたいですね。

二宮: フィギュアスケートは、単なる勝ち負けではなく、見ている人にメッセージを伝えないといけない。究極の表現者ですよね。
村主: 見に来ていただく方がたくさんいるからこそ、フィギュアスケートは成り立っている。だから絶対に観客のことを無視した演技はできません。