[MLB]
杉浦大介「“ミラクル・メッツ”、復活の条件」

~松坂大輔も属するチーム再建の行方~

プレーオフ争い参戦を宣言

勝負の時間が近づき、アルダーソンGMの手腕に注目が集まる。Photo By Gemini Keez

「今季の私たちにはシーズン90勝を挙げる力がある」
 2月下旬、メッツのサンディ・アルダーソンGMがチーム上層部にそう伝えたと地元メディアが報道し、ニューヨークでは話題になった。

 総額5億ドル近くを投入し、田中将大、カルロス・ベルトランらを獲得する大補強を展開したヤンキースではない。過去5年連続で負け越し、90勝以上を挙げたことなど2007年以降は一度もないメッツの話である。

 昨季、ナショナル・リーグでワイルドカードを勝ち取ったレッズの成績が90勝72敗だったのだから、アルダーソンGMはメッツのプレーオフ争い参戦を宣言したも同然。しかし、トミー・ジョン手術を受けたエースのマット・ハービーは今季全休が濃厚なこともあって、一般的な下馬評は決して高くない。それだけに、普段は冷静なGMの大言壮語を嘲笑するメディア、関係者も少なくなかったのである。

若手投手たちがメジャー昇格すれば松坂の放出もあり得る。ただ、序盤戦の投球は本人、チームの両方にとって重要だ。Photo By Gemini Keez

 今オフにバートロ・コローン(昨季アスレチックスで18勝)、カーティス・グランダーソン(2011、12年にヤンキースで2年連続40本塁打以上)を獲得し、メッツも投打の新たな軸を手に入れた。昨季の盗塁王エリック・ヤング、終盤に復活気配を感じさせた松坂大輔とも再契約。自前のトップ・プロスペクトを放出せずに戦力補強できた意味は大きく、より層の厚いチームになったことは間違いない。

 それでも、遊撃手、一塁手、二塁手、ブルペンなど、未知数のポジションは多い。若手を大事に育て、足りない部分を効率良くベテランで埋めるチームづくりには好感が持てるが、現実的にまだ優勝を目指せる戦力ではない。

 2014年は短絡的な補強に走らず、ザック・ウィーラー、トラビス・ダーノー、ファン・ラガレスらを大事に育てるのも良いだろう。シーズン中にメジャー昇格するであろう注目の大器、ノア・シンダーガードがどんなデヴューを飾るかも楽しみ。ハービーが戻ってくる来季を“収穫の年”にするべく、今季は新たなステップを着実に踏んでいくのが得策に違いない。