読書人の雑誌『本』より
2014年03月26日(水)

『「放射能汚染地図」の今』著:木村真三---経済偏重主義にもの申す!

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「放射線汚染図」の今』著:木村真三
価格:1500円(税別)
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「この国は、すぐ忘れる。これだけの被害をもたらした原発をエネルギーだ、経済効果だと騒ぎ、再稼働の話が進む。福島県民はおとなしいだとか我慢強いだとか言われるが、そうでねぇ!

俺は被災地を見てきた。そんな生易しいものじゃねぇ。こんな状況に追い込んだ原発は断固として反対する!」

とある福島県内の商工会議所副会頭の声である。

しかし、世間はなかなかそう簡単に原発ゼロになることはない。原発は危険である、しかしながら安定した電力供給あってこその経済発展だという。今回の原発事故で被害を被った福島県は、原発により経済発展に一定の効果をもたらされた地域であるが、電力の行き先は東京を含め大都市圏の人々のところ。

そこに、声は届いているのであろうか?

都知事選は、先の衆院選、参院選に続き原発の是非を問う選挙となったが、大雪のせいもあり史上三番目の低い投票率で、原発より身近な暮らしとして介護、子育て、防災などの政策、厚生労働相の実績を訴えた舛添要一氏が初当選した。「東京世界一」という選挙のキャッチフレーズから、経済成長や企業重視の感が漂う。

バブル崩壊から二〇年余り、冷え込んだ経済を立て直し、勢いのあった頃の日本に戻ろうと努力することは国民の願いでもあろう。しかし、現在の経済立て直し計画を見ても目先のことばかりではないだろうか?

本質的な国の財政赤字、国債発行高を見ても、本来はこれらの借金を返済し、国際的な信頼を取り戻さねばならないはず。そうしなければ、国債の格付け自体も下がっている中、日本に投資をする気運は減少する一方である。こういった状況をマスコミも国民に知らせる努力が足りていない感がある。

世の中がオリンピックで浮かれ、マスコミもこれまで話題にしてきた社会問題など、一気に下火となりメダル獲得に酔う。開催中は、ひところ騒がれたウクライナの国内情勢や沖縄の基地問題、福島のことを全て忘れてしまう、この国民性。福島県郡山市にある郡山医療生協 桑野協立病院の坪井正夫院長から聞いた話である。

水俣病を始めとする公害問題をうやむやにしたのが、東京オリンピックであり、大阪万博であったと。高度経済成長をスローガンに経済一辺倒になり、にぎやかなお祭り騒ぎに酔いしれて行くうちに、その社会的底辺で苦しむ人々のことを忘れてしまう。こんな話だった気がする。経済至上主義に徹してきた敗戦後の日本を象徴しているかのようだ。

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