国際・外交 ロシア
「ロシアが悪い、プーチンが悪い」は本当か!? クリミア編入騒動で浮き彫りになる西側の傲慢とダブルスタンダード
3月18日、赤の広場で開かれたクリミア編入を祝う集会にて 〔PHOTO〕gettyimages

ウクライナについての報道を見ていると、おかしなことばかりだ。ドイツのニュースはクリミア情勢一色で、欧米が対ロシア制裁に踏み切り、さらに日本がその列に加わったということまで逐一報道された。日本の動向をここまで仔細に取り上げるのは、珍しいことだ。

ドイツメディアの論調では、ロシアはウクライナの主権を踏みにじり、侵略し、国際法を破ったので、厳しく制裁しなければいけないという。独シュタインマイヤー外相は、「今になって既存の国境を変更するというのは、信じられない事態であり、これが認められるなら、将来、エンドレスの紛争があちこちで始まることになる」と言った。

この主張、「ロシアが悪い、プーチンが悪い」というのは、アメリカの言い分の通りで、それにEUが追随している状況だ。そして日本も同様に、17日、やはりロシア非難に加わった。ただ、EUも日本も、ロシアとは持ちつ持たれつの状態を保ちたいさまざまな事情があるので、諸手を挙げて制裁に加わっているわけではないだろう。

そもそも疑問符だらけのウクライナ暫定政権

さて私は、プーチン大統領のしていることが良いとは思わないが、アメリカよりずっと悪いとも思わない。どちらかと言うと、アメリカの方が独善的なのではないか。今まで、他国の主権を侵して出兵し、民主主義政権を樹立するという大義名分のもと、実際には治まっていた国を内乱状態に陥れてきたのは、他でもないアメリカなのだ。

イラクでも、リビアでも、シリアでも、アフガニスタンでもそうだった。アメリカが介入した国で、平和になった国は、日本とドイツ以外どこにもない。ユーゴスラビアを粉々にしたのもアメリカだ。これが民主化とは、冗談にもほどがある。アメリカが軍事介入をする理由はただ一つ、これらの国の政権がアメリカの利害に反する行動をとっていたからだ。民主主義とは関係ない。

去年、ウクライナで民主化運動と称する暴動が起こったのも、元はといえば、アメリカの意向からだ。ひいては、それに与したEUのせいでもある。それは次のような経過をたどった。

11月、EUは、EUへの加盟を餌に、ウクライナのヤヌコーヴィチ大統領に、その条件となる協定への署名を迫った。まず、これがあまりにも稚拙だ。ロシアを完全に無視して、ウクライナをEUに引き入れようとする計画が上手くいくはずがない。ロシアはそもそも近い将来、EUに対抗するため、周辺国を統合して、非関税の通商同盟を作り上げようとしている。そのときには、ウクライナが重要なカギとなる。

つまり、ウクライナがEUに入り、NATOに加盟させられるのを、ロシアが指をくわえて見ているはずはない。そんなことをすれば、通商同盟はおろか、ロシアそのものが、早晩、消えてしまいかねない。

そうでなくても、昨今のEUの東方拡大には、プーチン大統領は腹立たしい思いを堪えていたはずだ。そのうえ、隣国のウクライナまでEUのテリトリーとなれば、喉元にナイフを突きつけられたようなもので、プーチン大統領としては追い詰められた気がしたに違いない。だから打開策として、ロシアはウクライナのヤヌコーヴィチ大統領にもっとおいしい条件を提供して、とりあえず、ウクライナのEU接近を防いだのだった。

しかし、それを見たアメリカとEUは、プーチンの追いつめられた気持ちを理解しないまま、去年の暮れ、キエフの反政府グループをけしかけ、抗議デモをひねり出した。デモは次第にエスカレートして、誰かがどこからかデモ隊に対して発砲し、死者が出る事態になった。この狙撃は、反政府側の自作自演だったという有力な説もある。

いずれにしても、今では、一連の反政府デモにはアメリカの大々的な支援がなされており、しかも、そのおかげで出来た現在のウクライナ暫定政権は、民主主義などとはあまり縁のない、疑問符のいっぱい付いた政権であるという印象が強まってきた。

それでも、アメリカもEUも、この疑問符のいっぱい付いた政権を直ちに合法と認めている。一方、プーチン大統領は、この政権の正統性を認めず、クーデターと見做しているが、私には、こちらのほうがまともな見方に思えてならない。

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