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第5回/これから生まれてくる子どもたちのために
希望 "Hope" Vol.5 ——これから生まれてくる子どもたちのために
AA型乗用車のボディ組み付け作業を再現した実物大ジオラマ。同車は1936年から6年間で1404台生産。製作工程の多くは職人による手作業で行われた 撮影/三宅祐介

トヨタの歩みは、日本の産業技術史と同じ時を刻む。日々進歩するテクノロジーをとおして私たち、そして何よりも子どもたちに伝えたい希望とは。

'36年、トヨタ車のロゴは「TOYODA」(左)から、濁音のない「トヨタ」(右)に

名古屋市西区にある「産業技術記念館」は、トヨタのモノづくりのルーツを知ることのできる文化施設。開館は'94年、総入館者数は378万人にのぼる。

自動車工場一棟分の広さを誇る記念館に入り、驚かされるのは、実物大ジオラマ展示の数々だ。例えば、豊田喜一郎氏(トヨタ自動車創業者)が仲間とともに開発したトヨタ初の乗用車「AA型」の、組み立てラインを再現したもの。そこからは、「新しいモノづくりに挑戦をする際は、まず手作業で取り組み、苦労してみることが人を育てる」という気概が伝わってくる。また、さまざまな年代のエンジンを14基並べたブースを訪れると、小型軽量化や環境負荷低減など、時代のニーズを先取りしてきたトヨタの歩みが見て取れる。

1月、自動車館創業期ゾーンがリニューアルされた。自動車事業に挑む様子を、年代順に展示。中には、開発した小型エンジンを自転車に取り付け、試運転に挑もうとするシーンもある

同社の歴史は、織機製作で広く知られていた喜一郎氏の父親(豊田佐吉氏)の工業技術から始まっている。

時は'21年。紡織技術の視察のため、海を渡った喜一郎氏は、欧米諸国の自動車の普及に息を呑んだ。

「これからは自動車の時代だ。日本にも必ずや……」

その後10年──。