「ニコチン入り電子タバコ」でタバコがやめられる?~アメリカで熱い議論~

『現代ビジネスブレイブ グローバルマガジン』---「ニューヨークタイムズ・セレクション」より
〔PHOTO〕gettyimages

専門家の間で意見が真っ二つに分かれた

公衆衛生の有能な研究者であるボストン大学のマイケル・シーゲル博士は、電子タバコの登場はアメリカにおいて、タバコが終わる幕開けとなりうると主張する。電子タバコは破壊的なイノベーションであり、コンピューターがタイプライターを駆逐したように、タバコを時代遅れなものとする可能性を秘めていると考えている。

しかし彼の恩師である、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のスタントン・A・グランツ教授は、電子タバコが喫煙者を半世紀かけて減らしてきた努力を台無しにしてしまうかもしれない、という強い懸念を示している。この現代的なアイディア商品が、子どもたちにとっては、古臭く、極めて有害な習慣へ導く入口となり、また喫煙をたしなむ大人にとっては、今後もニコチンにしがみつくことになるだろうと予測している。

現在、電子タバコをめぐり、公衆衛生の専門家の間では闘いが勃発している。ふたりの意見は両陣営を代表している。電子タバコはニコチン中毒を招く危険性をはらんでいるが、従来のタバコとは違い有毒なタールを含んでいない。長い間、喫煙習慣や大手タバコメーカーに対し一丸となって闘ってきた、普段は平穏な公衆衛生学のコミュニティを電子タバコが真っ二つにしてしまったのだ。

彼らの意見は違えどひとつの大きな疑問に辿りつく。それは「はたして電子タバコは喫煙習慣を助長するものだろうか、それとも抑制するものだろうか」という決定的に重要な疑問である。なぜなら現在でも、喫煙はアメリカ国民が回避できる死因の中でも最大で、その死者は年間約48万人にも及んでいるからだ。

シーゲル博士は大学院時代に書いた論文で、電子タバコの悲観論者は、見た目が喫煙に似ているものはすべて悪いものだという考え方にとらわれていると訴えた。当然、グランツ博士はその論文に目を通している。シーゲル博士は「悲観論者は目を曇らされていて、電子タバコを客観的に眺めることができなくなっている」と語る。一方、グランツ博士は「電子タバコは確かに素晴らしいアイディアに見えるが実際はそうではない」と、この意見に反対だ。

科学こそが電子タバコに関するこれらの疑問に答えてくれると期待されているが、いまだ研究段階である。電子タバコを幅広い消費者が長期的に使用した際の効果を、確定的に結論付けるには証拠不十分だと多くの専門家が認めている。

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