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第2部 あなたは悪くない大丈夫、本当はみんな「捨てたい」と思っている
大特集 みんな悩んでいる「老いた親」の捨て方
〔PHOTO〕gettyimages

「親を捨てる」にあたり、まず最初に立ちふさがる障害は「罪悪感」だろう。

7年前に母親を亡くした映画監督の柳町光男氏(68歳)も、良心の呵責に苛まれた一人だ。認知症を患っていた母親は、最後の9年間を施設で暮らした。

「施設にゆだねたということは、自己犠牲的に親の面倒を見られないということ。ああ、自分はなんて徳のない人間だろうと思いました。

せめて話し相手になろうと、最晩年は週1回のペースで通いました。でも、会うたびに母の記憶が失われていき、最後は家族のことも忘れてしまった。ある日、母の手を握っても握り返さず、さすっても反応がない。それで『帰るね』と母に声をかけたら、『私を捨てるのか』と。きつい表情でした。その言葉が、今も心に突き刺さっています。

結果的に、私は母を捨てました。その無念の思いは、いまだに消えません」

罪悪感というものは心の整理がつかない以上、なかなか消えない。それに追い打ちをかけるのが、周囲からの「非難の目」だ。認知症になった父親を施設に入れた神奈川県在住の岡崎ゆかりさん(58歳/仮名)が、世間体に悩まされた自身の経験を語る。

「父の預金はたった200万円。そこで、費用の不足分を夫に出してもらい、施設に入れたんです。罪悪感はありましたが、私は小柄で虚弱体質ということもあり、自分で面倒を見ることはできないので……」