「お寺に決まった形はない!けれど社会にあっていればそれでいいワケでもない」僧侶界のイノベーター・池口龍法僧侶の【私がフリーペーパーを作った理由-後編-】

先頃、『お寺に行こう! 坊主が選んだ「寺」の処方箋』を上梓した僧侶の池口龍法さんは、京都大学、同大学院で学び、浄土宗総本山の知恩院に奉職しながら、宗派を超えた僧侶たちのフリーペーパーを創刊した、僧侶界のイノベーターだ。
全国の寺を廻り、僧侶たちを取材し続ける池口龍法さんが観て感じた、震災前後のお寺のありかたの変貌は? 「葬式不要論」が出る一方で、仏教&仏像ブーム も起こる今、仏教というビジネスモデルの可能性はどこにあるのか?――僧侶たちが抱える苦悩と挑戦を、若き変革者が本音で綴る!

 ⇒【前編】、【中編】はこちらからご覧ください。

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それぞれの僧侶がコミュニティへの参加を考え始めた

いま、社会がどういう形になっていくのかわからず、みんな不安感を増していっています。私たちお坊さんも、これからどのようなコミュニティを作っていくのかということを考えなければいけない時期に来ていますし、この10年ぐらいを振り返れば、お寺はもっと開かれた場になるべきだ、という活動が増えてきました。東京のほうで有名なのは、「神谷町オープンテラス」が、「お寺×カフェ」という形の取り組みとして注目を集めてきました。浄土宗だと炊き出し支援などをされている「ひとさじの会」が有名です。

このような取り組みをとりまとめて書籍にしたものもあります。『ルポ仏教、貧困・自殺に挑む』は、朝日新聞の記者が、変わりつつあるお寺社会の様子を取材し、2年前に出版されたものです。社会活動をして苦しみに寄り添おうとしている仏教者が増えているということを、ルポルタージュとしてとりあげています。それから、「宗教者ニューウェーブ」という特集を組んだのが『宗教と現代がわかる本2013』ですね。

つまり、さまざまなお坊さんが、これから仏教をどうやって盛り上げていくのか、コミュニティづくりにどう参加していくのかということを考えて活動を始めています。その中で今日おひとり紹介したいのは、栃木教区の光琳寺の副住職・井上広法さんです。

hasunoha」のwebサイト

井上さんは、昨年11月に「hasunoha」というサイトを立ち上げました。これは、お坊さんが答えるQ& Aサービスです。すべて井上さんが答えるわけではなくて、ここに登録されているお坊さんは何人もいらっしゃって、悩み相談が寄せられると、登録しているお坊さんすべてにメールで通知がいくようになっています。それで、ひとつの悩みに対して、メールを受けたお坊さんは、答えたい人が何人でも答えていくのです。

回答されたお坊さんの数だけさまざまな解決の仕方が提案されます。悩み相談のやりとりは、すべて一般の人でも見られるようになっているので、読んだ人が納得したら「有り難し」というボタンをクリックします。ちょうど、フェイスブックの「いいね」ボタンと同じ感覚で、納得度、満足度が見えるというシステムになっています。

このサービスがどう進展しくかなと興味深く見守っていますが、ネットだからお坊さんに相談できるということを、すごく喜んでくれているユーザーさんが多くいるそうです。