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大特集みんな悩んでいる「老いた親」の捨て方【第1部】決断ひとつで、天と地ほどの差がついてしまう!親を捨てるか妻から捨てられる
〔PHOTO〕gettyimages

愛情を注ぎ、立派に育ててくれた両親。時は流れ、あなたは定年。親は80過ぎ。感謝の気持ちは忘れない。けれど、いつまでも「親子の情」に引きずられていては、自分の人生を失うことになります。

「15年前、母が認知症を発症したのを機に、同居を始めました。私はまだ54歳で働いていたし、家は狭い建売住宅。高校生の娘も二人いたので妻は抵抗があったようですが、私は強引に母を引き取り、妻に介護を任せたのです。そこからすべてがおかしくなりました……」

無念さを滲ませながらこう語るのは、高田正章さん(69歳/仮名)だ。高田さんは、定年退職した60歳のとき、妻に「捨てられた」。今は独り、誰との会話もない孤独な日々を送っている。

引き取った当時、母親は75歳。認知症は年々進み、介護する妻に「私のカネを盗んだ」「死ね」などの罵詈雑言を浴びせるようになっていった。

やがて高田さんは定年を迎えたが、母親の介護は、相変わらず妻任せだった。

「家にいるようになると、母の認知症がいかにひどく、妻の苦労がどれほどのものか十分すぎるほどわかりました。徘徊癖がひどく、片時も目が離せないため、外出もできないという状態。でも、私は病気の母と向き合うのが怖くて、どうしても一緒に介護する気になれなかった。

定年から半年経ったころ、妻から『私はお義母さんの世話をするために生きているんじゃありません。介護で6年間も家に縛られている間に、友達もみんないなくなってしまった。もう施設に入れてよ。それが無理なら、離婚します』と泣きながら訴えられたんです」

しかし、高田さんは、かつて自分に愛情を注いで育ててくれた母を捨てる、という決断がどうしてもできなかった。そこで、娘二人に妻を説得してもらおうと甘い期待を抱き、家族会議を開いた。ところが—。