民主党「小沢独裁」では健全な二大政党制とはいえない
渡部恒三元衆議院副議長インタビュー
 小沢一郎民主党代表と同期当選で誕生日も一緒。自民党を離党したときも行動をともにした。民主党で小沢氏を最もよく知る男、渡部恒三元衆議院副議長を田原総一朗氏が直撃。生方騒動の前に行われたインタビューだが、渡部氏は小沢独裁に陥る民主党への懸念を率直に語った。

田原 今日は、小沢さんの話をしたい。いや、いい悪いじゃなくて、小沢さんの話をうかがいたいと思います。

渡部 はい。私も長く政治にかかわってきたけど、政治献金で土地を買ったっつう話は聞かない。土地を売ったという話ならね、あるけど。藤山愛一郎さんも一例ですけど。

田原 あの人は、井戸塀政治家でね、ずいぶん財産を売っちゃったんだ。

渡部 あれから見ると、ほんと恥ずかしいんだ。でもね表向いてケンカするとね、今僕と小沢がケンカしちゃうと民主党真っ二つになっちゃう。

田原 そうです。

渡部 だから、ほどよいところに(笑)。

田原 はい。まあぼくはね、今渡部恒三さんは、民主党の水戸黄門だと思ってる。

渡部 そうさせられちゃった。

田原 渡部さんだけが、ほんとのことが言えるという立場だと思います。

渡部 これは国民のみなさんからそうさせてもらったから、その期待に応えなきゃと。

田原 渡部さんは、小沢さんと一番長いつきあいで。

渡部 しかも、誕生日が一緒なんですよ。

田原 ああ、そうですか。

渡部 僕が昭和7年5月24日、小沢が昭和17年5月24日。

田原 10年違う。

渡部 ええ。それで昭和44年、1969年の総選挙、あのときは逆に今の自民党が300議席取ったという。田中角栄幹事長のもとで。われわれ44人、一年生議員でした。そこは田中さんという人はすごくて、僕一人、小沢一人だったらしないけど、二人だったもんですから、僕と小沢の合同誕生会を次の年赤坂でしたんです。44人の新人議員を呼んでやってくれたんです。

田原 そうか、初当選も一緒なんですね。

渡部 同期、誕生日も一緒(笑)。

衆院選に勝ったのは小沢の力ではない

田原 それはすごい。それでね、渡部さんと小沢さんの関係で非常に印象に残ってるのは、宮澤(喜一)内閣のときに小沢さんや渡部さんが自民党から離党したときのことです。脱党といってもいいんですが、あれで宮澤内閣はつぶれるわけです。あのとき小沢さん、羽田(孜)さん、そして渡部さんと離党した。渡部さんは離党しないんじゃないかという話もあったんですが。

渡部 そもそも僕は二大政党論だったんですよ。

田原 当時から。

渡部 ところが小沢の場合は権力闘争に負けたんですよ。小渕(恵三)と経世会の代表を争って、負けて。

田原 特に、参議院で負けちゃった。衆議院は勝ったんですね。

渡部 その通り。あれはね、中西啓介ってあのころ小沢の一の子分が余計なことを言って。「政治は衆議院がやるもんだ、参議院はどうでもいい」なんて余計なことを言って、参議院が小渕のほうにバアッと行って、小沢が負けちゃった。

田原 それで、宮澤内閣に不信任案が出る。それに賛成して離党するわけですね。渡部さんはどうして離党したんですか? 

渡部 僕はね、基本的に自民党一党支配の政治はもう終わりにしなきゃなんないと思ってました。国民が主人公の政治であるためには政権担当能力のある政党が2つないと、やっぱり民主主義にならないという考えはずっと持っておりましたからね。しかし、残念ながら社会党は待てど暮らせど政権政党にならない。
  ならば自民党を割って政権政党を作るしかないと。ところが今ね、田原さん、世の中って不思議でね。去年の夏の選挙で、これで俺の念願の二大政党ができた、明日死んでもいいと思った。ところが、それからわずか6ヵ月経ったら、今度は自民党の方がつぶれてなくなっちゃいそうでね。

田原 そう、自民党が割れてね。

渡部 民主党の一党独裁、小沢の独裁になったら昔の自民党のほうがまだよかったんじゃないかと。いまさら民主党辞めて自民党に行くわけにもいかないし(笑)。去年の選挙に勝ったところで死んでれば、おれは目的達成できたと、よかったのに。今は悩み、悩みなんですよ。

田原 いまは悩んでるわけだ。

渡部 逆に自民党つぶれっちゃいそうで。

田原 そう、このまま行くとね。いきなりそこを聞きたいんですが、去年民主党が選挙に勝った。あれはやっぱり小沢さんの・・・。

渡部 そんなの、関係ないんです。

田原 関係ない? 

渡部 それは賢い国民の皆さんの選択。これは小沢君にも言ってますがね、偶然に小沢君が幹事長だったときに圧倒的に勝った。空気、国民が勝たせてくれたんです。これわれわれね、真剣に考えなくちゃいけないのは、国民の皆さんが賢かったということ。
  もうこのへんで、自民党一党支配は終りにしろ、政権交代というのが国民の80%の世論になって、それが結果として民主党圧勝をもたらした。私はテレビでも言ってますが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」という言葉があるように、勝ちすぎたの。

田原 308は多すぎた。

渡部 総議席が480ですから、260くらい取りたいとがんばった。そしたら300超えちゃった。それが結果としては、まさに「過ぎたるは及ばざるがごとし」。私の念願とする健全な二大政党でなくて、長い自民党一党独裁から今度は民主党の一党独裁になっちゃいそうなんで。

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