賢者の知恵
2014年03月23日(日)

死よりも「生」を見つめる仏教を!未来へ向けた開かれたお寺を目指す僧侶界のイノベーター・池口龍法僧侶の【私がフリーペーパーを作った理由-前編-】

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先頃、『お寺に行こう! 坊主が選んだ「寺」の処方箋』を上梓した僧侶の池口龍法さんは、京都大学、同大学院で学び、浄土宗総本山の知恩院に奉職しながら、宗派を超えた僧侶たちのフリーペーパーを創刊した、僧侶界のイノベーターだ。
全国の寺を廻り、僧侶たちを取材し続ける池口龍法さんが観て感じた、震災前後のお寺のありかたの変貌は? 「葬式不要論」が出る一方で、仏教&仏像ブームも起こる今、仏教というビジネスモデルの可能性はどこにあるのか?――僧侶たちが抱える苦悩と挑戦を、若き変革者が本音で綴る!

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やりたいことができない日々に苛立ち、はじめた「フリーペーパー」

『お寺に行こう!坊主が選んだ「寺」の処方箋』著:池口龍法
価格:1300円(税抜)
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先頃、お寺に行こう! ~坊主が選んだ「寺」の処方箋を出版しました池口龍法です。1980年生まれ、兵庫教区の西明寺というお寺に生まれ育って、京都大学・大学院で仏教学を学び、その後は総本山知恩院に奉職して今日に至ります。ゆくゆくは母方の実家である京都教区の龍岸寺を継いでいく予定ですが、現在は知恩院の編集主幹(いわゆる広報です)、龍岸寺の副住職、それから「フリースタイルな僧侶たち」という団体の代表という3つの肩書になっています。

知恩院の編集主幹とか龍岸寺の副住職というのは、どういう仕事なのか、みなさん容易に想像がつくと思いますが、なぜ、私はそれだけに飽き足らず、「フリースタイルな僧侶たち」を立ち上げたか。それをまず書かせていただきます。

大学のころは、インド・チベットの仏教文献学を専攻し、世界の見え方と心のあり方との関係を扱った思想である唯識や、物質や心について分析的に論じた書物「倶舎論」を研究テーマに扱っていました。でも、研究室の中で文献を読むよりも現場に近いところで活動したいなという想いや、研究室にいるよりも本山のほうにいるほうが現場でなにかできるんじゃないかという気持ちが断ち切れなくて。

そこで、研究の道は進まずに大学院を中退し、2005年の4月から知恩院に奉職したんです。3年ぐらい「元祖法然上人八百年大遠忌法要」(2011年10月)の事務局のお手伝いをしていました。お手伝いをする中で、大遠忌に向けてこれからいろんな事業をできるんじゃないかと期待し、企画書を書いたりもしたのですが、なかなか受け入れてもらえませんでした。自分の思っているようなことができなくて、でも、自分なりの活動のイメージはある・・・・・・だんだん苛々してきて、自分のやりたいことが本当に正しいかどうか試してやろうと。

それで、身の回りにいる人を集めて、まず自分たちの想いを伝えることからスタートしようとフリーペーパーを創刊しました。それがちょうど4年半前、2009年の8月のこと。それ以来2ヵ月に1回、定期的に発行してきたわけです。

やりようによっては勝負できる。僧侶だからこそできるテーマを取り上げた

お寺に人が来ない、仏教離れということが言われていますが、本当に仏教が求められていないかどうかはお寺のなかでうだうだ言ってもしょうがないと。カルトがこれだけ支持を集めているなら、やりようによれば私たちも勝負できるだろうと。もし通用しないとすれば、当時まだ20代後半だったので、転職するなら早いほうがいいという想いもありました。

創刊号は、寄付をつのったりして、なんとか1500部発行しました。

そのときは、写真も原稿もデザインもほとんどすべて、自分でやるしかなかったですね。なんとか仕上げてフリーペーパーが納品されたら、今度はそれを積み込んで街中に出て、反応をうかがおうと思ったわけです。活動の拠点は京都なので、三条大橋や四条大橋などで配布していました。

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