三橋貴明の「第2次所得倍増計画」

【第5回】第二章 防衛費拡大で日本経済大復活(前編)---国民所得を確実にあげる
~需要拡大、民間投資も拡大する、
巨大「成長分野」は「安全保障」だ!~

2014年03月18日(火) 三橋 貴明
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【第4回】はこちらをご覧ください。

所得倍増の意味と意義

さて、本連載のタイトルは「第二次所得倍増計画」であるが、所得とは国民経済というマクロ的視点では「名目GDP」を意味している。2013年の名目GDP(速報値)は478.4兆円である。所得倍増計画とは、文字通り国民の所得を2倍に拡大し、名目GDP1,000兆円を目指す計画になる。

とはいえ、名目GDPが拡大すればそれで話が済むかといえば、もちろんそんなことはない。第一章で取り上げた通り、正規雇用ではなく非正規雇用の労働者が増え続けるタイプの名目GDPの成長は、我が国の国民経済にとって好ましいとは言えない。

実際のところ、派遣労働に代表される非正規雇用が増え続け、正規社員との格差が拡大する形で名目GDPを2倍にすることは、現在の日本にとってはまず不可能だ。発展途上国ならともかく、すでに成長を遂げ、国民所得の水準が世界の中でも相対的に高い方に位置する我が国が、さらに所得を倍増させようというのだから。格差拡大型ではなく、中間層を分厚くする形で所得を拡大させなければ、経済成長の持続力はすぐに失われてしまう。すなわち、継続的に経済を成長させることができない。

シカゴ学派の経済学者の教祖であるミルトン・フリードマンが提唱した「仮説」の一つに、恒常所得仮説がある。恒常所得仮説とは、労働者の固定給与など、現在から将来にかけて確実に得られる見込みである恒常所得によって、消費活動が左右されるという仮説だ。

自動車や住宅など、比較的価格が高い財を考えてみればわかる。自動車や住宅を「ローン」を組んで購入する人は、間違いなく「将来も所得を得られる」という見込みに基づき消費活動を決定している。

フリードマンによると、恒常所得に比べ、不定期に得る「可能性がある」変動所得の場合、消費活動への影響は限定的とのことである。

実は、フリードマンの恒常所得仮説は、ケインズの、

「消費者の消費行動は現在所得により決まる」

という考え方に対するカウンターであった。ケインズの仮説が正しい場合、消費を拡大するためには「現在の所得」を増やせばいいことになる。すなわち、政府が有効需要になるように支出をすれば、現在の「誰か」の所得が増え、結果的に民間の消費が拡大し、経済成長が実現できる。

それに対し、フリードマンは、消費を恒常所得と変動所得に分離し、

「現在ではなく、恒常的に得られるであろう所得により、消費は決定される」

と、提唱したわけだ。

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