若者が抱く漠然とした将来への不安感、そのまま雑誌に---『WORLD YOUTH PRODUCTS』
編集長の川口瞬さん

やりたいことを模索する若者たちが、一冊の雑誌を生み出した。雑誌を発行したのは、当時同じシェアハウスに住んでいた社会人3~4年目の若者3人組だ。

彼らはインドまで赴き、農村で暮らす者や大手財閥で働くエリートに取材を行い、働くことについて探る雑誌『WORLD YOUTH PRODUCTS(ワールドユースプロダクツ)』を完成させた。

編集を担当した若者3人は、普段は民間企業に勤める会社員だ。仕事終わりと週末に時間をつくり、編集作業を行った。シェアハウスをしていることもあり、週末は8時から昼12時まで会議を行い、それ以降は自由に各自でタスクをこなす。

3人は、ほぼ編集経験はない。編集長の川口瞬さん(26)のみ、大学4年時に出版社でインターンしていただけだ。取材からデザイン、校正など全て0から行ったため、制作期間は2年かかった。出版費用も全て3人で出し合い、1000部を発行した。

第一弾となる、『ワールドユースプロダクツVol.0』では、インドを舞台に1週間の取材活動を実施した。

インドを選んだ理由は、日本と正反対だからだという。人口の増減推移、経済成長、環境汚染など、対照的な点が多い。川口さんは、「日本と正反対な国に生きるインド人たちの働くことへの価値観を知りたかった」と話す。

Vol.0インド特集

晴れない、漠然とした将来への不安

雑誌をつくった背景には、発起人の川口さんが抱えていた漠然とした不安がある。川口さんは社会人1年目の冬に、その不安を感じたという。就職活動も無事に終えて、希望する会社にも就職できた。実際に働いてみても、恵まれた環境で、不自由はしなかった。しかし、「このままでいいのだろうか」という漠然とした不安感があったという。

川口さんは、「働きやすい環境で、不満はなかった。居心地が良かったことで、逆に不安になり、このままではいけないと感じた」と話す。この不安感から生まれたのが、同雑誌だ。

仕事終わりや休日返上で作業にあたるので、体力的に厳しいこともあるが、0からモノをつくる体験をすることで、「良い刺激になる」と言う

「大きな組織で働いていると、既存の製造・生産ラインがあり、その調整役が仕事となる。雑誌をつくるような0から1を生み出す経験がしたかった」

この思いに共感し、鈴木祥成さん(26)と近藤亮一さん(26)の仲間2人も集まり、雑誌をつくるためにシェアハウスを開始した。「働く」をテーマに取材したのも、川口さんたち全員が、働き方に悩みを持っていたからだ。

「同世代で、この先の人生へ漠然とした不安を抱いている人は少なくないはず。そのような人を変えるきっかけを与えたい」

雑誌をつくる過程で、漠然とした不安感もなくなりだした。川口さんは「雑誌をつくることで、まったく知らなかった世界に触れることができて、多くの人とつながれた。苦労もたくさんあったが、やりがいを感じている」と語る。

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