『プロに学ぶデジタルカメラ「ネイチャー」写真術』
感動をあたえる写真とはなにか
水口博也=著

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何を撮りたかったかをダイレクトに伝えるには?
自分が表現したい写真で人を感動させるために。

 画面になかに余分なものを入れないこと――それがよい写真に仕上げる第一歩だ。主役を魅力的にする色彩と光、フォルムと動きが備われば、1枚の写真にストーリーが生まれてくる。第一線で活躍するネイチャー写真家の実践的な写真講座。

まえがき

 近年、花の季節に散策したり、動物園や水族館を訪れたりすると、多くの人が、高級な一眼レフカメラをもち、本気で撮影にとりくむ光景に出会う。「写真を撮る」行為は、以前のかぎられた人びとの趣味であった時代をこえて、(パソコンを使うといった行為と同様)相当な割合の人びとの間に浸透している。

 彼らが何を撮影対象にするかはそれぞれだ。最近では若い女性を中心に、料理やお菓子などを可愛く撮影するという分野も、確立されている。母親にとっては、子どもたちが主たる被写体になるだろう。しかし、より多くの人にとっては、花をはじめとした自然の風景や、動物園や水族館での撮影、最近各地で行われるエコツアーでの撮影など、広い意味での「自然」が被写体になっている。

 カメラを手にすれば、誰もが「いい写真を撮りたい」と思う。では「いい写真」とはどんな写真なのか。いまデジタルカメラがもっている機能は、驚くほどに進歩して、誰もがきれいな写真を撮影できるようになった。AF(オートフォーカス)やAE(自動で露出を決定してくれる機能)によって、一般のユーザーでも絞りやシャッタースピードといった操作にわずらわされることなく、はじめてカメラを手にしたときから、ふつうにきれいな写真が当たり前に撮影できる時代である。

 そんな状況のなかでは、たとえアマチュア写真愛好家とはいえ、それ以上のもの、つまりは自分が表現したいものがどうすればダイレクトに表現できるか、鑑賞者をどれだけうならせることができるか、が一番の関心事になっている。

 本書は、カメラの細かな技術的な議論以上に、どうすれば自分の意図を表現する写真が撮影できるのかと、そうするための考えかたを中心に解説したものだ。もちろん、それに付随して必要な技術については、できるかぎり解説した。

 写真表現の技法はあまりに多様である。写真の一番の上達の道は、シャッタースピードや絞り云々の議論にはなく、ほんとうにすぐれた写真を数多く鑑賞することだと思う。どんな写真を撮影したいかというイメージさえもつことができれば、技術はそれについてくるものだ。そのために、本書では、世界の第一線で活躍する写真家たちの作品も数多く収録した。

 自然写真と呼ばれる分野の奥深さを感じていただくとともに、そこから自分なりのさまざまなアイデアを引きだしていただけるものと思う。アートでは、本物にふれること以上に大切なことはない(世界の写真家の作品については、それぞれの写真の下にその名前を表記した。名前がないものは、すべて私自身の作品である)。

 本書ではカメラ自体についてあまりふれていないが、一応は多彩な交換レンズが使用できる一眼レフカメラを想定している。しかし作品づくりの考えかたについては、使用するカメラがコンパクトカメラであれ、ミラーレスカメラであれ、何ら変わるところはない。

 また、一眼レフカメラのさまざまな機種の、どれが撮影しやすいかというおたずねをよくいただくが、いま日本のメーカーがつくっているカメラであれば、どんな廉価機でも十分に使用に値するし、高級機に遜色のない作品づくりも可能である。

 ぜひ、手元にあるカメラと本書を片手に、まずは身のまわりの自然に目を向けていただければと思う。

 

著者  水口博也(みなくち・ひろや) 
一九五三年、大阪市生まれ、京都大学理学部(動物学科)を卒業後、書籍編集に従事。一九八四年からフリーランスとして、世界各地のフィールドでクジラ・イルカの調査、撮影を行い、数々の写真集、ノンフィクションを出版。近年は地球環境の変化を追い、熱帯雨林や極地への取材も多い。主な著書に『クジラ・イルカ大百科』『ガラパゴス大百科](共に阪急コミュニケーションズ)、『オルカ』(早川書房』、『クジラ・イルカ生態写真図鑑』講談社、『Amazon Dolphin アマゾンのピンクドルフィン』『ぼくが写真家になった理由』(シータス)など。
『プロに学ぶデジタルカメラ「ネイチャー」写真術』
感動をあたえる写真とはなにか

水口博也=著

発行年月日:2014/03/20
ページ数:240
シリーズ通巻番号:B1858

定価:本体1200円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)