ブルーバックス
『宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト』
どこから来るのか、なぜ起こるのか
村上敏夫=著

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宇宙の起源を解き明かす鍵は
宇宙最大の爆発にあった!!
たった一つの星の爆発が
数千億個の星からなる銀河の明るさを超える。
宇宙のモンスター、ガンマ線バーストの謎に挑む。

 宇宙で最大で最強の巨大な星の爆発はいままで知られていた超新星爆発ではなかった。巨大な爆発はどこで、どのように発生するのか? 長い論争の果てに下されたその結論に困惑した理由は一体? ブラックホールとの関係、宇宙の歴史、生命大絶滅との関係……。宇宙物理学で今もっとも注目される現象をひもといていく。

はじめに

 ガンマ線バーストと呼ばれる天体現象を知っていますか? ガンマ線バーストとはひとことで言えば「宇宙で最大で最強の星の爆発」のことです。そう説明すると詳しい方には「それは超新星の爆発(スーパーノバ)のことだろう!?」と反論されそうですが、実はそうではありません。最近になって、今まで知られていた超新星の爆発を規模で大きく超える極超新星の爆発(ハイパーノバ)が発見されました。極超新星の爆発で出る総エネルギーは、昼でも見えたと言われる超新星の爆発よりもさらに一桁も大きいのです。そして、その爆発の最初に出る大量のガンマ線をガンマ線バーストと呼びます。

 この新しいタイプの星の爆発は最近になってわかった現象です。最近になってわかったと述べましたが、ガンマ線バースト自体は1967年頃に発見されていました。アメリカの核実験探知衛星が極秘にガンマ線バーストを検出していたのです。しかし、あまりにも奇妙な現象のため、大論争を巻き起こしながらも、原因はわからないままでした。

 1967年の発見以来、謎に包まれていたガンマ椋バーストの原因がわかったのは、それから30年後の1997年になってからのことでした。原因はさきほど説明した極超新星の爆発であり、その規模は今まで最大と言われてきた超新星の爆発を一桁も超える巨大な爆発とわかりました。これだけでも興味がわいてきませんか?

 もっと面白いことに、この爆発にともなってブラックホールが作られることもわかってきました。ブラックホールを作る!と聞けば、ますます興味がわいてくると思います。

 現在、ガンマ線バーストを説明する理論モデルとしてもっとも一般的なのは「火の玉モデル」です。ご存じの方もいるかもしれませんが宇宙の始まりも「火の玉:ビッグパン」と呼ばれています。何か関係があるのでしょうか?

 本書では、こうした謎に満ちたガンマ線バーストの発見のドラマから書き起こし、なぜ長い期間にわたり理解されなかったのか、世界中の研究者を巻き込んでの長い大論争を紹介します。

 一体何が正しいメカニズムの理解を阻んでいたのでしょうか? 最終的な理解には何が必要だったのでしょうか? キーワードは「相対論」でした。相対論と書くと難しい学聞を想像しがちですが、相対論はGPS(全地球測位システム)などに利用されており、最近はとても身近な存在となっています。ただやはり、相対論が関わると普通の常識とは違ったことが起きるので理解が難しいものです。しかし、もはやそれを抜きにしては語れない科学も多くなっていて、ガンマ線バーストの場合も同じです。ガンマ線バーストと相対論がどのように関わっているのかも、本書では説明します。