「講座:ビジネスに役立つ世界経済」
【第37回】 「さわらぬ神に祟りなし」の米国株式市場

〔PHOTO〕gettyimages

筆者の想定と異なる展開を見せる米国株式市場

筆者は、昨年末と年初に『今年は(マーケット、政策当局にとって)「苦闘の年」となろう』と述べた。

また、その意味で、筆者は、現段階では、「ユーロ(通貨、債券)のロング(買い)・新興国(通貨、株式)のショート(売り)、米国株式のショート(通貨、債券はニュートラル)、日本(通貨、株)はニュートラル、日本の債券はロング」が有効なグローバル投資戦略ではないかと考えてきた(ユーロは金融危機が封印され、かつ、デフレ局面に入るという筆者の想定するシナリオに基づく)。

中国をはじめとする新興国の混乱や相対的には堅調な展開を見せるユーロ圏経済・市場などを鑑みると、世界のマーケットの多くは、筆者が指摘した通りの展開になっていると考える。だが、米国株式市場は筆者の想定と異なる展開を見せている。

米国株式市場は極めて堅調である。代表的な株価指数であるS&P500種は断続的に史上最高値を更新し続けている。

確かに、2月の完全失業率は6.7%と、QE(量的緩和)政策導入時に暗黙に設定されていた出口政策実施の水準である6.5%に接近しており、米国経済はようやくリーマンショックの影響を完全に払拭し、「正常化」を実現したかに思われる。FRB内にも「タカ派(出口政策を進めるべきとする)」が台頭し、米国経済は順調に正常化に向けて推移しているように見える。

一方、実体経済関連の指標は思わしくない。例えば、企業の景況観を示すISM指数は、製造業で、53.2、非製造業で54.6とややピークアウト感が出ている。小売売上にもピークアウト感が出つつある。

もっとも、今年の冬は大寒波の影響で経済活動が滞った側面もあるので、直近2~3ヵ月の数字はそれを考慮する必要がある。また、今後2~3ヵ月の数字も大寒波明けの反動増が想定されるため、実体よりも強い数字が出る可能性がある。そのため、経済のファンダメンタルズ(基礎的な条件)から今後の相場動向を予想するのは難しい。

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