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声に出して言いにくい「日本の大問題」第4回 隣のストーカー「被害者にも問題がある」という大衆の心理について考える
越智啓太×栗原加代美

なぜ愛する人につきまとい、ときに殺人まで犯してしまうのか。そして、被害者は悲劇を避けることができなかったのか。犯罪心理学者とストーカー更生NPOの代表が、ストーカー問題の真実を語った。

「裸の写真」を撮らせる感覚

栗原 先月19日に、群馬県大泉町に住む女性が、同県館林市で元交際相手のストーカーに殺害された事件は衝撃的でした。容疑者は頭を狙って女性を射殺した後、拳銃で自殺したと見られていますが、ここ数年、世間を騒がせるようなストーカー犯罪が増加しています。

些細なものまで含めると、20~40代の日本人女性の5人に1人はストーカー被害の経験があると言われているほどです。ストーカーに悩み、私の行っているDV(家庭内・交際相手への暴力)加害者更生プログラムを受けたいと相談に来る人も、年々増えています。元交際相手や元配偶者への暴力・ストーカー行為の結果として、カウンセリングが必要になる人が多いんです。

越智 ストーカーに関する警視庁の統計でも、交際相手、もしくは元交際相手へのストーカーが6割を超えています。そして、ストーカー加害者の9割が男性です。元カレ・元夫のストーカーが一番多い。

昨年10月、当時高校3年生だった女子高生が元交際相手に殺害された三鷹のストーカー事件は大きな話題になりました。被害者が犯人に裸の写真を撮らせていたことで、「被害者にも問題があるのでは」という心ない意見も見られましたね。

犯人は復讐のためその写真をネット上にばらまき、リベンジポルノという言葉が一気に浸透しました。ストーカーの加害者はヌード写真に限らず、いざというときのために相手の秘密を握ろうとします。

栗原 私も最初は「そんな相手にどうして裸の写真なんて撮らせるのだろう」と不思議に思いました。もしかすると、暴力への恐怖心から撮らせてしまったのかもしれません。

越智 ところが、「こういうタイプのストーカーは必ず裸の写真を撮ろうとするから、交際相手には裸の写真を撮らせないほうがいいよ」と大学の講義で言ったところ、100人のうち2~3人ぐらい、怒る学生がいたんです。「私の交際相手はストーカー行為をするような人ではない」という人もいる。それは、すでにそういう写真を撮られているからでしょう。恋人に裸の写真を撮らせることはけっして稀なことではない。今の若い人たちの間では、かなりポピュラーなことなんです。

栗原 一概には言えませんが、ストーカーの被害者には性格が従順で、相手に支配される恋愛関係を求めてしまう人も多い。相手の要望に応えることが、愛情だと思っている。

越智 そして実は、ストーカーには、第一印象のいい人が多いんです。それは、自尊心が高いために、自分を着飾っているから。