「TOKYO X」とは何か? 海の幸・山の幸に恵まれた大都会東京の魅力

〔PHOTO〕gettyimages

都知事選挙の際に、東京全域をくまなく回ったが、東京都の広大さを再認識させられたものである。島嶼部で行ったのは、伊豆大島であるが、八丈島、三宅島、小笠原諸島など他にも多くの島がある。三多摩地域にしても、檜原村までは足を伸ばせなかった。

ロンドンやニューヨークやパリに住む人間にとって、大都会のイメージの東京に山があって、ケーブルカーや登山道があるというのは信じがたいことである。だから、高尾山が外国人観光客の注目を浴びているのである。それに加えて、太平洋と島である。緑と海という、この自然の豊かさが東京の魅力である。

農産物にしても、ロンドンやニューヨークやパリの特産品というのは、あまり聞かない。私が青春時代を過ごしたフランスで、ワインと言えばボルドーやブルゴーニュであり、調味料のからしはディジョン、チーズも各地で作られるがパリで作られているとは思えない。

「東京SaBAQ」の生産理念のもと飼育される「TOKYO X」

「TOKYO X」ブランドマーク

それに比べて、東京は、農産物や海産物のブランド品を持っている。「TOKYO X(トウキョウエックス)」とは何か。SF小説のタイトルではない。すぐに分かる人はあまりいないのではなかろうか。

これは、東京特産の豚の名前である。東京都畜産試験場が、中国の北京黒豚とアメリカのデュロックとイギリスのバークシャーの三品種をかけあわせて作った新品種で、平成9年7月に日本種豚登録協会から「系統造成豚」(固定された系統)として認定されている。

肉の特徴は、(1)薄く柔らか、(2)微細な脂肪組織が入り脂肪が良質、(3)多汁性に富み、なめらかな歯ごたえがあって美味しいといったものである。

生産理念は「東京SaBAQ」というもので、まずは"Safety"で、これは豚の健康を良好に保ち、感染を防ぎ、抗生物質を含まない指定飼料を与えていることを指す。次にBは"Biotics"で、指定飼料はポスト・ハーベストフリーの(収穫後に農薬を使用せず、遺伝子組み換えを行っていない)トウモロコシである。

Aは"Animal Welfare"で、動物本来の生理機能に沿った飼育をし、より健康に育てる方針である。Qは"Quality"で、高品質の豚肉に仕上げるということである。また、トレーサビリティも完璧である。

問題は値段で、バラ100gが240円、ロース100gが400円程度である。我が家の場合、ロースは150〜200円くらいのものを買っているので、相当に高い。しかし、倍の値段を払っても満足できるくらいに美味しい。年間8900頭ほど出荷しているが、供給が需要に追いつかない。一般の豚が一度に10〜12頭出産するのに対して、TOKYO Xは7頭くらいしか出産しないことも、生産量が増えない原因である。

しかし、スペインのイベリコ豚(放牧でドングリなどを食べて育つ豚)よりも美味しいというのが、私の感想である。2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会までに生産量を増やして、世界的なブランドにし、世界中から東京に集まるお客さんに食べさせたいものである。

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