経済の死角

哀愁のサラリーマン人生別れの春がやってきた お父さんは今日、出向になった トヨタ、パナソニック、新日鐵住金、三菱東京UFJ銀行

2014年03月17日(月) 週刊現代
週刊現代
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〔PHOTO〕gettyimages

——突然、上司に呼ばれて告げられた。妻は「どうするの」と詰め寄り、結婚式を控えた娘は「相手の親に言えない」と泣いた。

でもこれがパパの人生なんだ、わかってくれ

勤続30年。会社も家族も祝ってくれるものだと思っていた。待っていたのは「出向」という名の片道切符。こんなはずじゃなかった。オレのサラリーマン生活は一体何だったのか。それでも人生は続く。

かつての部下に頭を下げた

「30年にわたる社業への貢献には、心から感謝している。その経験を、これからは関連子会社で活かしてもらえないだろうか」

呼び出された役員室のソファに座るなり、新日鐵住金のある部長は担当役員からそう告げられた。55歳のときのことだった。半ば覚悟はできていたつもりだったが、実際にその言葉を告げられると、一瞬、頭の中が真っ白になった。

'70年代後半、新日鐵に入社。同社は当時、日本の製造業としては最大規模であり、世界有数の製鉄会社だった。2度にわたるオイルショックを乗り越えた日本の製造業は、世界で高い評価を得て「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともてはやされた。

それからバブルの狂乱時代がやってきた。バブルが弾けると、長い長い停滞期に入る。'12年には長年、ライバル関係にあった住友金属と合併。その時期に会社を去っていった同期や同僚も多い。

「うちは出向しても60歳までは本社の待遇と同じです。その点は恵まれていますが、それでもいよいよ新日鐵を離れるのかというショックは大きかったです」

次ページ 彼は悔しさをにじませながら、こ…
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