特集 震災から3年 復興から発展へ「新しい東北の創造」目指す

2014年03月10日(月) 毎日フォーラム
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産業の復旧・復興はどうなっているのだろうか。グループ補助金の交付先アンケートでは、現在の売り上げ状況が震災直前の水準以上まで回復していると回答した企業の割合は36・6%となっている。業種別で震災直前水準以上に売り上げが回復しているという割合が最も高いのは、復興事業などが増えている建設業の66・0%、次いで運送業の42・3%だった。最も低いのは、津波被害の大きかった水産・食品加工業の14・0%、卸小売・サービス業の30・6%が続いた。12年1~12月期の被災3県の工場立地件数は、前年度より31件増の95件だった。

農業・水産業・観光業も回復が見られるが、本格的な復興が今後の課題だ。

農業では、被災3県の水稲作付面積は昨年12月現在で、震災前の94%まで回復。岩手県及び宮城県では、震災前とほぼ同レベルまで回復し、福島県では震災前の85%まで回復した。しかし、観光業では、宿泊者のうち観光目的の宿泊者が全体の50%以上と回答した観光客中心の宿泊施設は、昨年9月現在で震災前の10年との比較して、東北全体の6県、被災3県のいずれもマイナスとなっているという。

水産業では、被災3県の主要な魚市場は、岩手県の久慈、宮古、釜石、大船渡、宮城県の気仙沼、女川、石巻、塩釜、福島県の小名浜だ。この9魚市場の12年11月から13年10月の水揚げ量は、金額ベースで被災前1年間の約69%まで回復している。水産加工施設は昨年12月末時点で被災3県で被害があった821施設のうち、78%に当たる638施設が業務を再開している。

農地の復旧も進んでいる。国が策定した「農業・農村の復興マスタープラン」に基づき、被災農地の営農再開に向けて、農地復旧や除塩を実施中だ。青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉6県の津波被災農地2万1480ヘクタールのうち、昨年12月末現在で1万3470ヘクタールの営農の再開が可能となった。農地の大区画化も進んでおり、岩手と宮城、福島各県では復興交付金などを活用して、面的な集積による経営規模の拡大や土地利用の効率化などを図る農地の大区画化などが計約9700ヘクタール(13年12月現在)で実施中だ。

税制や金融上の特例が受けられる「復興特区制度」の活用も進んでいる。税制上の特例の適用を受けることができる指定事業者(被災5県)による投資見込額は、昨年12月末時点で約1兆2000億円、雇用予定数は約8万7700人となっていた。また、特例が受けられる指定事業者などの合計数(被災5県)は、前年比で約2・2倍の1961となっている。利子補給の認定計画に基づく推薦事業者(被災5県)への融資予定額は、今年1月末時点で対前年比約7倍の1325億円に上っており、投資見込み額は対前年比約13倍の4168億円という。新規雇用予定者数は同約18倍の3652人となっている。

また、義援金などの分配状況は昨年9月末現在で、日本赤十字社などに寄せられた義援金3698億円は約9割を被災者に配布済みで、災害弔慰金の支給済み件数は1万9542件に上っている。被災者生活再建支援金の支給世帯数は18万8667世帯となっている。

東北の新しい発展を模索する試みが、昨年から始まっている。被災地は、人口減少や高齢化など今の日本が抱える課題が顕著に現れている。このため、単に従前の状態に復旧するだけでなく、復興を契機にこれらの課題を解決し、「我が国や世界のモデルとなる『創造と可能性の地』としての『新しい東北』を創造する」(復興庁)として、さまざまな事業を推進している。

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