野球
二宮清純「上原浩治、“新魔球”でさらなる高みへ!」

MLB屈指の宝刀

 カッター(カット・ファストボール)と言えば、昨シーズン限りで引退した元ヤンキースのクローザー、マリアーノ・リベラ投手の代名詞とも呼べるボールです。

 リベラ投手が19シーズンでマークした652セーブは、メジャーリーグ最多記録。40セーブ以上をあげたシーズンが9度もあるのですから驚きの一語です。

 リベラ投手が「史上最高のクローザー」たりえたのは“伝家の宝刀”カッターがあったからです。あのイチローでさえ、「リベラのカッターが一番打つのが難しい」と発言しています。

 このボールは右バッターにとっても左バッターにとっても厄介なこと、この上ありません。右バッターにすれば、バットの芯でとらえようとした瞬間、ススッと外に逃げていくのですから、どうしても体が泳ぎがちになってしまいます。踏み込んで腰の座ったバッティングをすることは困難です。

 逆に左バッターにとっては、手元付近で食い込んでくるのですから、必然的に詰まらされてしまいます。バットをへし折られた挙句、ボテボテの内野ゴロに打ち取られるバッターが続出したのは、リベラ投手のカッターが切れている証拠でした。

 では、カッターはどのようにして投げるのでしょう。ピッチャーによって若干の違いはありますが、ストレートの握りから人差し指を中指側にずらし、リリースの際に切るのが一般的な投げ方のようです。

川上投手は2001年のワールドシリーズでリベラ投手のピッチングを見てカッターを習得した。

 日本では中日の川上憲伸投手のカッターが有名です。今シーズンから同僚となった左バッターの小笠原道大選手は、川上投手のカッターをこう評していました。
「すごく速くでキレがある。早く打つとファウルになるし、引きつけて打とうとすると詰まらされるんです。コントロールも良くて10球中9球は狙ったところに来るので大変でした」