武田薬品と京大に降圧剤の「薬品偽装」疑惑発覚――検察は「製薬業界と大学医学部の闇」を徹底追及すべき

東京地検特捜部が、ノバルティスファーマの降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)に絡む薬事法違反で、同社と臨床試験に関わった大学の強制捜査に入った直後、今度は武田薬品工業で疑惑が発覚した。

同社の降圧剤カンデサルタン(商品名ブロプレス)の高血圧治療効果を示す宣伝広告のグラフが、元になった臨床試験のグラフと違うというもの。

「薬品偽装」の構図はノバルティスと同じ

武田薬品の長谷川閑史社長は、「日本製薬工業協会」の宣伝に関する規約に違反、不適切なグラフを使用していたことを明らかにして謝罪したものの、「臨床研究のデータ改ざんや捏造」はなく、「誇大広告」にも当たらないという認識を示した。

ノバルティスの場合は、厚労省がデータ操作された大学の臨床試験結果を広告や記事などに用いた点が誇大広告にあたるとして地検に告発した。これに対して武田薬品は、学会発表時のデータを論文発表後の宣伝に使わないという業界ルールに違反したもので、悪質性はないという主張である。

しかし製薬業界が、臨床試験を使って自社製品に都合のいい薬効をPR、販売促進に役立てようとし、そのために臨床試験を行う大学に巨額の奨学寄付金を贈ったという意味では悪質さは同じである。

「薬品偽装」といって差し支えない。

しかもノバルティスの場合、私大の東京慈恵会医大が入っていたために見送られたが、残る4大学は国公立の医学部だったので、「準国家公務員である大学教授らが、『いい報告を書いて欲しい』という請託を受け、奨学寄付金という賄賂をもらったのだから贈収賄罪が成立する」という意見もあった。

武田薬品の場合も怪しい痕跡が残されている。武田薬品は、01年9月から05年12月にかけて、高血圧患者4700人を対象に他社製品との比較を行う「CASE―J」と呼ばれる臨床試験を行った。日本高血圧学会が主体となった医師主導臨床試験で、共同研究の要であるデータセンターは京都大学EBM研究センターに設置された。

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