二宮寿朗「“熱血漢”ラモス瑠偉の言葉」

 夕方の全国ニュースに、今季からFC岐阜(J2)の監督に就任したラモス瑠偉の怒った顔が映し出されていた。ホームで迎えた開幕戦(3月2日)、JFLから昇格したカマタマーレ讃岐を迎えて3-1で勝利したにもかかわらず、終盤になって受け身になったことが許せなかったようだ。

求めるのは心に響くプレー

「最悪のひどい試合。レベルが低すぎる」
 確か、このようなコメントだったと記憶している。いずれにせよ、爆発寸前といった表情が何とも印象深かった。昨年の岐阜は、22チーム中21位で、42試合中9試合しか勝てなかったチームである。開幕戦で勝利を手にできただけでも大きな一歩であるようにも思うが、指揮官はまったく納得していなかった。

 翌日、新聞に載っているコメントを探してみると「喜んでいいのか、あいつらを殴ったほうがいいのか、どちらか分からない」「アホすぎる」などと過激な表現まで飛び出していた。本当に「殴る」わけではなく、愛情の裏返しから来る辛口であることは分かっている。だが、他の監督なら「勝っただけで満足しちゃいけない。これからが大事だと思っている」ぐらいにとどめるだろう。「殴る」なんておっかない言葉は、使わないはずだ。

 良し悪しは別にして、感情がストレートに表現されているラモスの言葉は、今の時代には新鮮に映る。他のJリーグの監督を見渡してみても必要以上に自分の発言に注意している人が多い中で、ちょっと異例の存在だと言える。

 開幕前、Jリーグの監督・選手たちが集う「キックオフカンファレンス」でラモスは多くの報道陣に囲まれていた。目標を聞かれると、指揮官は「サポーターに期待を持ってもらえること」と語った。
「負けても面白いサッカーをしたいんですよ、俺は。あきらめないで90分、点を取りにいって力を出し切るような、サポーターがまたスタジアムに足を運びたいと思ってくれるような、そんなサッカーがしたい」

 開幕戦のチケットの売れ行きが好調だと聞くと「俺のおかげや!」と大声を張って、報道陣の笑いを誘った。実際、開幕戦は1万1069人が集まった。リピーターになってもらうためにも、ラモスは勝利そのものよりも選手達のプレーがファン、サポーターの心に響くかどうかにこだわっていた。だからこそ、自分たちの手で攻撃の手を緩めたことを許せなかったのだ。