佐藤優のインテリジェンス・レポート---「ウクライナ情勢の緊迫」「島尻安伊子問題」
佐藤 優 プロフィール
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分析メモ No.71 「ウクライナ情勢の緊迫」

【事実関係】
2月23日、ウクライナ議会は、所在が不明になっているヤヌコビッチ大統領の職務権限を停止し、前22日に議会議長に就任したトゥルチノフを大統領代行に任命した。

【コメント】
1.―(2)
現在、ウクライナで進行している事態は「革命」である。特に、地方でのロシア語の公用語化を認める法律を廃止したことが重要だ。この決定は、革命政権が、ロシアと距離を置き、欧米に接近する路線を選択することを示唆しているからだ。

2.―(1)
今回の革命の背景には、歴史的、文化的に根深い対立構造がある。反政権側は、西ウクライナ(ガリツィア地方)に基盤を置く民族主義勢力である。帝政ロシア時代、ウクライナは小ロシアと呼ばれていた。現在も、ウクライナ人で、自分は広義のロシア人という自己意識を持っている人も、東部、南部には少なからずいる。また、東部には軍産複合体や宇宙関連企業があるので、軍事的にも、経済的にもロシアと緊密な関係を維持している。

これに対して、ガリツィア地方と呼ばれる西部は、歴史的にハプスブルグ帝国の版図で、同帝国解体後はポーランドに属していた。ガリツィア地方がソ連領ウクライナと統合されるのは第二次世界大戦後のことだ。ガリツィア地方のウクライナ人は日常的にウクライナ語を話す。

これに対して、東部、南部、中央部のウクライナ人は日常的にロシア語を話す。ウクライナ人の大多数は正教徒だが、ガリツィア地方のウクライナ人はカトリック教徒が多数派だ。このガリツィア地方の人々はロシアを嫌いEUとの統合を強く望んであるが、東部の軍産複合体、宇宙関連企業と結びついたウクライナ人はロシアとの連携強化を望んでいる。(…略)

2.―(4)
東部を基盤とする軍産複合体、宇宙産業、またロシア人との複合アイデンティティを持つウクライナ人は、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に飲み込まれることになるのではないかという強い危機感を有している。

3.―(1)
2月23日にソチ冬季五輪が閉幕するまでは、国際世論に対する配慮から、ロシアは、ウクライナに対する露骨な干渉を行わなかった。しかし、今後は干渉を強める。(…略)

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