三橋貴明の「第2次所得倍増計画」

【第3回】第一章 アベノミクス「第三の矢」は所得格差を拡大する(前編)
~強い日本の国力を取り戻すために
「いい国民」をやめる!~

2014年03月04日(火) 三橋 貴明
upperline

【第2回】はこちらをご覧ください。

デフレーションの正体

さて、デフレーションとはいかなる経済現象だろうか。ずばり、国内企業などの供給能力に対し、「総需要」が不足しているという現象だ。需要とは、支出面のGDPを意味している。

序章で解説した通り、生産面のGDP、支出面のGDP、分配(所得)面のGDPは必ず一致する。これを、GDP三面等価の原則と呼ぶ。

国民が働き、付加価値を「生産」し、誰かが消費もしくは投資として「支出」し、創出された所得が誰かに「分配」される。総需要が不足しているとは、要するに金額で見た名目GDPの規模が、国内の生産能力、供給能力に対し足りない、という話になる。

【図1-1 インフレギャップとデフレギャップ】

※筆者作成

デフレの国は、図1-1の右側の状況にある。本来、国民経済が保有する供給能力(経済学用語では「潜在GDP」と呼ぶ)に対し、総需要(名目GDP)が足りないのだ。結果、潜在GDPと名目GDPの間にマイナスの乖離、いわゆる「デフレギャップ」が発生し、物価が下落する。

物価が下落すると、図0-1(所得創出のプロセス)における「生産者」の所得が小さくなる。何しろ、物価が下落すると、企業は以前と同じ製品を同じ数量、生産、販売したとしても売上が下がってしまうのだ。

所得が小さくなった生産者は、図0-1の右側(家計・企業・政府・外国)の立場になり、自らのために消費、投資をしようとした際に「金がない」という話になる。買い手に十分なお金がないため、今度は別の生産者が自らの生産物の価格を引き下げ、「自らの所得」をも引き下げてしまう。所得が小さくなった生産者が、図0-1の右側に回ると・・・。と、物価下落と所得縮小の悪循環がどこまでも続いていくのが「デフレーション」なのである。

マスコミはデフレについて「物価の継続的な下落」と説明する。とはいえ、単に物価が下落する「のみ」であれば、誰も困らない。物価が下落することで生産者の所得が縮小し、さらなる物価下落を誘発することこそが問題なのだ。デフレとは、正しくは「物価と所得の継続的な下落」と説明されなければならない。しかも、デフレ期には物価下落を上回るペースで所得が縮小していく。すなわち、国民が貧困化する。

次ページ ところで、なぜデフレーションと…
1 2 3 4 5 6 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ