メディア・マスコミ
小川和也×山田亜紀子【第4回】
「これからの新聞社は、”論”より”ファクト”をどこまで積み上げられるか」

[左]山田亜紀子さん(朝日新聞社ブランド推進本部所属)、[右]小川和也さん(グランドデザイン&カンパニーCEO)
ソーシャルメディアは、これまでマスメディアが主導してきたジャーナリズムのあり方を変えようとしている。この変化に対応するため、朝日新聞は日本の新聞社としてはじめて「ソーシャルメディアエディター」という仕事を編集局に設けた。
同社の初代ソーシャルメディアエディターを今年1月までつとめ、現在は朝日新聞のブランド戦略に取り組む山田亜紀子さんに、としての仕事を振り返ってもらいながら、ソーシャル化の波がもたらす新聞社、そして新聞記者の変化について語ってもらった(対談は2013年12月26日収録)。

 【第3回はこちら

"論"を発信する人が史上最高に増えている

山田: 今はFacebookやTwitterが登場したことで、いよいよ本当に「誰もが」になりつつあるんだと思うんです。そうなるとまたフェイズが変わった。たとえば5年くらい前にメディアの世代間格差も含めて 溝ができているという議論をするなかで、「これからは論とか文章とか物の見方が大事なときなのに、新聞記者ってそれを鍛えてないよね」という話があった。

私はここ2年くらい、ソーシャルによってさらにフェーズが変わってきているなと思っている。本当の「誰もが」になってきたときに、情報発信を職業にしていない人たちは、自分の身の回りで起きていること以外はファクトを提示できない。それはそうですよね。首相が今日はどこを歩いているのかなんて普通の人はつかめないわけですからね。

そういうときに、私も含め、取材を日々していない、ファクトがない人たちが何を発信するかというと、"論"を発信するんですよね。だから、一億総評論家時代とまでは言わないけれども、論を発信する人ってものすごく増えていますよね。たぶん、史上最高に増えている。

でも、実はファクトを提示する人はそんなにいない。自分の分野については誰でもファクトを提示できるけれども、実際にはそんなには増えていないと思うんですよ。

実は、インターネット時代には論もそんなにたくさんなかったんですよ。だからアルファブロガーたちの論が目立ったし、異なる意見が従来より多く出てきたことで、多様に見えた。でも、ソーシャルになってみると、論がすごく溢れてきた。居酒屋談義が全部表に出てきたわけですから。でも、気がついたらみんな「あれ? 結局、事実はどうだったんだっけ?」と事実を確かめたいというところに戻ってきているかな、という気が私はしています。

そのときに、時間を費やして「こんな論があるけど、本当はどうなっているの?」ということを追究できるかどうか。追いかけられるかどうかが問われている。それは新聞社にとっては元々の仕事なので、むしろ今、やれることは増えてきているというフェーズになってきていると思います。

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