【国土交通 その2】 日本を成長するアジアの海の中心に! 海洋国家日本の復権を!
国土交通省」より

僕たちが学んだ小学校の教科書には、神戸港や横浜港が世界のトップを争う海洋国家日本の港として描写されていた。しかし、世界単一市場の競争にさらされる海運の世界における現在の日本の退潮は見るに忍びないほどだ。

最新の世界各国の港湾における取扱量を見ると、1位上海(32,575TEU)(※TEUは20フィートコンテナ換算の単位)、2位シンガポール(31,649TEU)、3位香港(24,404TEU)、4位深圳(22,941TEU)、5位釜山(17,023TEU)とアジア各国が居並ぶ中、日本は遥か後塵を排し、29位に東京(4,691TEU)が食い込んでいるくらいだ。

なぜここまで日本の競争力は落ちたのか。世界の工場となった中国の港湾が上位にいることは理解できる。

だが、香港や釜山、シンガポールが港湾としての競争力を維持しているにも関わらず、日本の港湾が軒並み競争力を失った原因は、産業構造の転換が一因ではあるものの、政策の失敗にも大きな要因があると言ってよかろう。日本の港湾は、政策の失敗によって、インフラ、規制、優遇措置の劣後、経営力、海運産業の停滞という5つの弊害を背負っている。

四方を海に囲まれている日本にとって、海洋インフラは物流の根幹だ。成長著しいアジアとともに日本が発展していくためには、アジアとの物や人の流れをつなぐ海洋インフラの強化が欠かせない。海洋国家日本の復権を目指して、海洋インフラの国際競争力を徹底的に強化したい。

1. 選択と集中を進め、世界水準の港湾のハードインフラ整備を!

日本の港湾が背負う弊害のひとつは、インフラ面だ。アジアのライバル(いまやライバルともいえないほど差が開いているが)港湾と比べて、ハードインフラの面で劣っていては、競争にならない。

これまでの港湾政策は、国際競争力の強化という視点よりも、国内の公共投資としての意味合いが強く、「国土の均衡ある発展」といった価値観のもとに全国津々浦々に997もの港湾を造成してきた。

その結果が今の惨状である。全国の港湾はいずれも競争力をなくし、瀬戸内海から日本海側、さらには岩手に至るまでの地方港湾のハブ港が、横浜でも神戸でもなく、韓国の釜山になってしまっているという現状を招いたのだ。これは、空港におけるハブ空港が仁川となっているのと似た現象である。

アジアの競合港湾に伍するためには、選択と集中を進め、戦略港湾に限って港湾インフラ整備を集中的に進めることが必要だ。

その点、前原国交大臣の時に、港湾の「選択と集中」を進めるため、国際コンテナ戦略港湾を京浜港(東京港、横浜港、川崎港を合わせて一つの港湾と見なしたもの)、阪神港(神戸港と大阪港を合わせて一つの港湾と見なしたもの)の2港、国際バルク戦略港湾を9港(穀物5港、鉄鉱石2港、石炭2港)選定し、集中して投資を進める政策転換を行ったのは大いに評価したい。

世界の海上輸送量は大幅に拡大し、この20年間で、アジア・ヨーロッパ間で約6倍、アジア・北米間で約4倍に増加している。それにともなってコンテナ輸送船の大型化が進んでいるが、日本の港湾はそれに対応できていなかった。

現在就航している最大級のコンテナ船が停泊するのに必要な岸壁水深は18mだが、これまで日本の港湾のバースの水深は横浜港や神戸港での16mが最深であった。

前原大臣時の国際コンテナ戦略港湾の選定によって、両港を国際標準にするため、水深18メートル化が現在進められている。バース水深に限らず、港湾へのアクセス面、港湾設備の高度化、IT化、港湾設備の規模など、アジア各国の港湾に引けを取らない港湾インフラ整備を、選択した港湾に限って、集中して投資して進めるべきだ。

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