メディア・マスコミ
デジタルメディア時代に息を吹き返す長文ジャーナリズム
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ニュースのキュレーションや要約など、スマホでの細切れの時間を狙ったサービスが人気を集めている。そのニーズはある一方で、海外では長文ジャーナリズムの再興を感じさせるメディアも登場している。

この記事では、特に長文や調査報道を積極的に行う新興ウェブメディアを紹介しながら、デジタルメディア時代に息を吹き返す長文ジャーナリズムについて見ていきたい。

オリジナルの長文記事を発信する3つのウェブメディア

オリジナルの長文を発信しているメディアでは「Narratively(ナラティブリー)」、「Atavist(アタヴィスト)」、「Byliner(バイライナー)」の3つを押さえておきたい。

まず紹介するのは、「ナラティブリー」だ。毎週テーマを設け、様々な角度から毎日長文記事をアップしている。2012年9月に立ち上がり、人のストーリーに焦点を当てている。

リリース資金はクラウドファンディングサイト「Kickstarter」を活用し、5万ドル(約500万円)を集めた。その後のメディア運営資金は、広告販売でやりくりしている。

「Atavist」のトップページ

続いて紹介するのは、スマートフォンやタブレット利用者に良質なコンテンツを届ける「アタヴィスト」。The New YorkerのジャーナリストだったEvan Ratliff(エヴァン・ラトリフ)氏が中心となって立ち上げ、20名体制で運営中。

ノンフィクションを中心に長文記事が多く、基本的には課金でマネタイズしている。月間2.99ドル、年間19.99ドルとなっている。その他、ジャーナリズム関連に多くの投資をしているKnight Foundation(ナイト財団)などからの投資も受け、運営を続けている。

3つ目は、一流のライターやジャーナリストが記事を書き連ねるサイト「バイライナー」。2人の編集者/ジャーナリストによって、2011年に100万ドル(約1億円)の投資をもとに立ち上がった。

ノーベル文学賞候補をはじめとする多様なジャンルの書き手が、フィクション、ノンフィクション問わず多くの記事やストーリーを発信(編集部側のオリジナル記事もある)。積極的に電子書籍を出している一方で、課金メディアとして運営している(月額5.99ドル)。

ここまで3つの長文メディアを紹介したが、そのうち2つが課金モデルだった。しかしながら、コンテンツに課金する形はなかなか難しいところもあると思う(時間や体験に対する課金なども選択肢としてありうる)。長文記事を発信するサイトとなると、有料の電子雑誌や定額課金が主なマネタイズ方法となりそうだ。

デジタルメディアカンパニー「Vox Media(ヴォックス・メディア)」も長文に乗り出す動きを見せているので、少し取り上げたい。ワシントンポストの人気コラムニストEzra Klein(エズラ・クライン)が移籍し、「Project X」として新しいニュースサイトの立ち上げを行っているところだ。

同氏は、29歳の若さでワシントンポスト、ブルームバーグ、MSNBCなどコラムニストとして活躍。ワシントンポストでは、2009年に政策ブログ「Wonkblog」、2013年にはチャートや画像を扱うバイラルサイト「KnowMore」を立ち上げた。

今回の移籍に伴ってつくるメディアについては、実際のところ情報がまだ少ない。彼の得意分野の政策論に加えて、カルチャーやスポーツなど、かなり間口を広げたメディアになるとのことだが、データ関連の求人も出ているため、データジャーナリズムなども行っていくのだろう。引き続き、最新情報を楽しみに待ちたい。

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