「世界経済失速」の元凶?各国が怯える「中国リスク」はアベノミクスの息の根を止める!?
黒田日銀総裁と麻生財務相。G20初日は満面の笑みだったが…[PHOTO]Getty Images

豪州のシドニーで開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が23日、今年初めから続く世界的な株式相場の乱高下に業を煮やして、「今後5年で(世界経済の成長を)現在の見通しより2%以上押し上げることを目指す」という異例の声明を採択して閉会した。

これによって、すっかり一時期の勢いを失った新興国に代わって、久しぶりに日米欧の先進諸国が世界経済のけん引役を担うという。

とはいえ、今後の世界経済の先行きを占ううえで見逃せないのは、G20の開催前から懸念が強まる一方となっている中国リスクの存在だろう。楽観視する向きもないわけではないが、このままでは、アベノミクスを一枚看板に掲げる日本経済はもちろん、世界経済失速の元凶になりかねない問題である。

「5年で2%以上」G20が困難な成長目標掲げる理由

2日間の日程で最終日の議論がこれから始まるという22日(日曜日)朝の段階で、日本の新聞各紙は一斉に、議長国の豪州が声明文の原案に「異例ながら、世界経済の成長に関する数値目標を盛り込む」ことを提案している事実を伝えた。原案は正式に採択され、各国が今年11月に豪州のブリスベンで開くG20首脳会議までに具体的な行動計画をまとめる責を負うことになった。

米国が日本に先駆けて異次元の金融緩和策の縮小に舵を切ったことが、世界的なマネーの先進国回帰を招き、陰りの見えていた新興国経済の成長力を一段と削ぐのが確実とみられる中で、年初から世界の株式市場は大きな動揺を見せていた。今後、実体経済への波及が必至とされるだけに、その痛みを和らげる観点から、苦肉の策を採ったと言ってよいだろう。

牽引車として白羽の矢が立ったのは、これまでのところ高いパフォーマンスを見せている米国、ようやく一時の危機から脱する兆しをみせているユーロ圏、長年のデフレ経済の克服に取り組んでいる日本といった先進国だ。

はっきり言えば、2%の世界経済の成長率押し上げは容易でない。

そもそも、このところ国際機関が発表する世界の経済見通しは、過度の市場の動揺を抑える狙いから、下駄を履いている。

国際通貨基金(IMF)が今年1月に改訂版を公表した「世界経済見通し」は、その典型だ。それによると、世界経済の成長率は、前年比で2013年が3.0%、2014年が3.7%、2015年が3.9%と、拡大基調を維持できることになっている。

ところが、詳細にみると、消費増税を行う2014年の日本の成長率が2013年と同じ1.7%を維持するなど、いずれも各国政府の公式見解に準拠した楽観的な見通しが盛り込まれている。これらを前提にはじき出されているため、「世界経済見通し」も楽観的な予測となっているのだ。G20はそれをさらに2%押し上げようというのだから、困難な道のりになるのは避けられない。

そうした情勢にもかかわらず、G20が異例の声明を打ち出した裏には、ここで各国の経済政策の弱点を攻撃し合ったり、お互いの利害をむき出しにして、国際協調の枠組みを壊すことはできないという事情がある。

また、新興国バブルに再度火をつけるため、一部の新興国の主張を入れて、米金融当局に緊急措置だった異次元緩和の継続を迫ることができなかったという事情もある。

ルー米財務長官はG20直前、オズボーン英財務相と会談し、「新興市場諸国は財政健全化と構造改革の実施で自ら措置を講じなければならない」などと、米国批判に猛反発する姿勢を見せていた。

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