アル中の失業者が缶ビールで更正! 酔っ払いの街を変えた「ビール・プロジェクト」

ニューヨーク・タイムズ(USA)より

2014年03月02日(日)
〔PHOTO〕gettyimages

フレッド・シフォルストは午前5時半に起きて、東アムステルダムの街の清掃に出かける。仕事は決まって朝の9時、缶ビール2本とともに始まる。報酬の大半はビールで支払われ、これはその〝前借り〟分だ。昼食時にさらに2本。そして終業時にもう1本(万事うまくいった日は2本)を飲んで、〝生産性の高い一日〟を終える。

シフォルストは、公費で実施されている一風変わったアルコール依存症患者向けプログラムの恩恵を受けている。ゴミ拾いの仕事の報酬をビールで受け取る「ビール・プロジェクト」だ。ビールの銘柄はその日の最も安いものと決まっているが、ほかに紙巻きタバコ半パックと昼食が支給され、日当も10ユーロ(約1400円)支払われる。

ニューヨーク・タイムズ(USA)より

東アムステルダム区長のファティマ・エラティクは、このプログラムを積極的に支持する一人である。イスラム教徒の彼女は、個人的には飲酒に反対だが、アルコール依存症患者を排斥し、更生を求めるだけでは意味がないと考えている。それよりも仕事を与え、飲酒を一定量のビールに制限し、ハードリカーをやめさせたほうが建設的だという。

保守派からは、公費で飲酒補助とは何事かとの批判もある。だが、プロジェクト運営を担うレインボー財団のハンス・ウィナンズ理事長はこう反論する。

「酒を飲むのをやめれば助けてあげる、と言うだけではうまくいきません。日中仕事をすればビールをあげる、と言えば、患者も聞く耳を持つわけです」

公園で大量飲酒して死ぬ以外の道があることを示してあげるべきなのだ、と理事長は語る。

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