元副会長、ウォークマンの産みの親ほか かつての幹部が実名告白 あぁ、「僕らのソニー」が死んでいく

2014年02月24日(月) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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ソニーに13年間在職し、その後、AOLジャパンや会計ソフト会社『弥生』などで社長を歴任した平松庚三氏はこう言う。

「盛田・井深時代は役員から平社員まで、自分がソニーを支えていると思って仕事をしていた。クセのある人も多く、わがままなヤツばかりでしたが、お互いが切磋琢磨していた。それを盛田さん、井深さんは面白がっていた。その代表格がPSを開発した久夛良木健氏でしょう。彼はいつも自分の好きなことをやっていて、上司の言うことを聞かないことで有名だったが、経営陣は優秀さを買い、あえて放し飼いにしていた。その結果、彼は何千億円という売り上げをもたらすPSを開発した。ところが、近年の経営陣にそうした懐の深さはない」

米国流経営の失敗

そして、出井氏が社長時代に導入したのが、EVA(経済的付加価値)と独立採算制だ。EVAとは、投資した資本に対して一定期間にどれくらいのリターンを生み出したかを把握するための指標。この成果主義の導入は当初、ソニーが日本型経営から脱却し、名実ともにグローバル企業になるための施策ともてはやされた。しかし、この頃からソニーの活力が損なわれていったと、元上席常務の天外伺朗氏は語る。

「ソニーは出井社長時代から米国型のマネージメントに切り替え、コンサルタントを重用して成果主義を全面導入し、さらにEVAによって各事業を厳密に評価するようになりました。その結果、短期的な利益ばかりを求めるようになり、ソニーらしい商品が生まれなくなったのです」

かつてソニーには、社員たちが自由闊達に議論し、熱中してモノづくりに取り組むという伝統があった。その大切な財産が、米国型の合理主義経営によって破壊されてしまったのだ。

その一例が、天外氏が開発した犬型ロボット「AIBO」だろう。ソニーらしい、未来を想像させる輝きを放っていたにもかかわらず、ストリンガー氏の「決断」で採算が合わないと切り捨てられた。

「たしかにロボットはすぐにおカネを生むわけではありません。でも、世の中のためには重要なチャレンジであり、あれを手がけたことでソニーには世界中から優秀な技術者が集まっていたんです。だからこそ研究開発を続けなければならなかった。今になってグーグルが、世界中のロボットベンチャーを買収しています。一方でソニーは、先に始めていたにもかかわらず、先見性を理解して継続させる経営者がいなかった」(前出・辻野氏)

本来、5年から10年先を見越して行われる研究開発も、独立採算制が足かせとなって、十分には行われていないという。ソニー・コンピュータエンタテインメントの元幹部は、かつてのソニーに思いを馳せる。

「昔のソニーはとにかくワクワクするところでした。ドラえもんの道具みたいな技術がずらりと並んでいて、個々のチームが研究に取り組む。キャッシュアウトのことなんて考えていないし、他のチームとの垣根もなかった。当時のソニーは一つの有機体だったんです。目標は『世界一』ですらなかった。世界一は所詮、競争相手に勝つだけの話です。私たちは『世界で初めて』のものをつくろうとしていた。『世界初』を目指さない今のソニーに何の存在価値があるのでしょうか」

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