賢者の知恵
2014年02月26日(水)

ロスジェネ世代の精神科医・熊代亨氏の新刊『「若作りうつ」社会』より【第1回】年の取り方を間違えるとメンタルが危ない―「若作りうつ」社会がやってきた!

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生物としての加齢・社会的加齢がわかりにくくなった

あなたは、うまく年を取れていると感じていますか?

若作りのための化粧品やサプリメントが溢れる日本社会。テレビCMや電車の中吊りには「四十代女子」「生涯現役」といった広告が並び、そうした風景は私達にはお馴染みのものです。昭和の頃、還暦を過ぎた人は老人とみなされていましたが、二十一世紀の六十代は若々しく、そうした姿からは老人という言葉はあまり連想されません。

若作りしたい人・若さを引き延ばしたい人にとって、選択肢の多い時代になったと言えるでしょう。

ところが、延長に延長を重ねた思春期を終えようと思い立った時、あるいは祖父母のような還暦を迎えようと思った時、これまでのライフスタイルを変更し、年長者然としたライフスタイルに移行するのが思いのほか難しいと気づかされます。お手本になりそうな年長者は周囲に見当たらず、テレビタレント達は意外と若々しくみえてしまうので、これもあまり参考になりません。身体は着実に年を取り、衰えていっているのに、人生の次のステージがわからない――そういう消極的な理由で、昭和時代と同じライフスタイルを引きずっている人も多いのではないでしょうか。

ほんらい人間は、身体的にも社会的にも着実に年を取っていく生き物です。平均寿命が延びたとはいえ、身体が衰え始める時期がさほど変わったわけでもなく、三十代になれば白髪が目立ち始め、四十代になれば生殖能力が衰え始めるのは今も昔も変わりません。平均寿命八十年という数字も、「人間としての正規のコンディションが八十歳まで延長した」という意味ではなく「六十歳になってからの余生が二十年増えた」と捉えるべき数字です。

ところが、思春期が長引き、誰もが若作りするようになった今日では、生物としての加齢と社会的な加齢が一致しにくくなっています。「不惑になっても思春期」「還暦になっても壮年期」といったライフスタイルの遅延は、生物としての加齢と社会的な加齢とのギャップを広げやすく、心身に負担を強いるものではないでしょうか。

以下、そうしたライフスタイルの遅延が関与しているとおぼしき、精神科的なトラブルを二例紹介してみます。

『「若作りうつ」社会』
著者:熊代亨
講談社 / 定価760円(税別)
 
【内容紹介】
年の取り方がわからない!
オタク出身の精神科医が読み解く「成熟消失」時代


年の取り方がわからなくなり、寄る年波に足が竦んでしまっている現状について、ミクロな個人とマクロな社会の両面から考えていく――そういう趣旨の本です。過去に遡ってそうなった原因を検証し、未来に向かって何をすべきか模索するための本でもあります。(中略)本書を通じて一人でも多くの人に「年の取り方」について思いを巡らせていただき、これからの年の取り方について真面目に考えてみてほしい、と願っています。(「序章 年の取り方がわからない」より)

【本書の内容】
 序章 年の取り方がわからない
 第一章 「若作りうつ」に陥った人々の肖像
 第二章 誰も何も言わなくなった
 第三章 サブカルチャーと年の取り方
 第四章 時代居住環境と年の取り方
 第五章 二十一世紀のライフサイクル
 終章 どのように年を取るべきか
次ページ 【ケース】Cさん 四十三歳・女…
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