【国土交通 その1】 「空」の参入を自由化し、民間活力を活かせ! ~東京オリンピックに向け首都圏空港の整備を!
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今回より、「100の行動」は国土交通編に入る。国土交通省は公共事業を司る巨大な実業官庁だ。この分野の政策をどう選択するかで、成長戦略も行政改革も左右される。

100の行動国土交通編では、空(航空政策)、海(港湾政策)、陸(輸送、鉄道、道路)、都市(都市政策、住宅政策)などの分野ごとの政策について順を追って議論していき、その後に、観光、防災、インフラ整備、海洋政策など、分野横断的な政策を提言していく予定だ。

国土交通編の最初は、航空政策から入ることにしたい。オープンスカイ、羽田の国際化、LCC(ローコストキャリア)の就航と、近年の日本の航空行政、大きな転換を進めつつあると言えよう。

そもそも、日本の航空行政は、羽田と成田という首都圏空港の輸送能力の低さがボトルネックとなり、日本固有の構造が形成されてきた。

つまり、東京圏に一極集中する航空需要に対して、羽田や成田の輸送能力が追いつかず、そのために羽田と成田で国内・国際分離を行った上で、羽田と全国の空港を結ぶ路線は、運航頻度を抑えて大型機材で一度に大量輸送するというネットワークが形成されたのだ。

世界の航空市場が小型ジェットによるダウンサイジング化と多頻度化に向かう中で、日本の地方空港は羽田との輸送能力を確保するために大型機材の就航を可能とするための滑走路延長事業が延々と実施された。こうして、「国土の均衡ある発展」の名の下、国内各地に空港を整備し、路線網を拡げることに主眼が置かれた。

そこには、日本の国際競争力強化や、航空会社・空港の競争の促進といった政策目的は無かった。

しかし、いまや長年にわたって日本の航空政策上のボトルネックであった首都圏の空港容量は大幅に拡大された。2010年には羽田の第4滑走路及び新国際線旅客ターミナルが供用開始し、本年夏には44.7万回(うち国際線9万回)まで年間発着回数が拡大する予定だ。成田でも、昨年B滑走路西側誘導路などが供用され、年間発着枠が本年度中に30万回まで拡大する。

国際民間航空機関(ICAO)の推計によると、航空交通輸送量は今後アジア・太平洋地域を中心に増加し、2025年には同地域が世界最大の航空市場に成長すると見込まれている。

成長するアジア太平洋市場の中で今後国際的な競争が激しくなることが予想される今、日本の長年のボトルネックが解消した千載一遇のチャンスに、抜本的に日本の航空政策を転換すべきだ。容量制約を前提に国土の均衡発展を重視した規制行政から、企業間の競争促進、日本の国際競争力強化を重視する競争政策へ確実に日本の航空政策を転換させたい。

1. 羽田、成田の発着枠は市場原理を導入し参入を自由化せよ。そして、茨城空港を含めた3つの首都圏空港を一体運営し、競争力を強化せよ!

羽田空港と成田空港が拡張され、最大需要のある首都圏空港の発着回数が年間74万回を超えることは国益に適うことだが、羽田の発着枠の配分は未だに国土交通省による行政裁量だ。

さらに、「増えた枠の活用」の議論はあるが、既存の利用枠の再検討という議論は皆無である。既存枠は、JAL、ANA等のネットワークキャリアの既得権益となっており、LCCなど新規参入企業は参入の機会すらない。オリンピックに向けて、LCCを含む地方と首都圏間の路線を徹底的に充実させる必要がある。

首都圏空港の発着枠は、既存配分の既得権益を含めて、その配分を競争入札化することで市場原理を導入すべきだ。

その際の発想としては、御立尚資氏によると「各路線間の内部補助を前提としたネットワーク維持」から「必要な際には、自治体の意思で透明な補助金や税優遇も許す、ただしすべてはオープンビッドで就航会社(コストの低い会社が有利)を選ぶ」である。

一方、羽田と成田のキャパシティが大幅に増えたと言っても、巨大な首都圏の航空需要はそれ以上だ。そこで注目すべきなのが、茨城空港だ。茨城空港は、2010年に自衛隊百里基地との軍民供用で民間空港として開設されたばかりだが、LCCの参入によって利用者数を倍増させ、既に黒字で経営している等成功している。

首都圏空港のキャパシティをさらに拡大させるため、羽田、成田、茨城を含めた、3つの首都圏空港を一体として競争力強化を進めるべきだ。最大のポイントは都心からのアクセス向上だろう。

東京オリンピックに向けて羽田空港への東京駅からのJR線開通の検討が進められていることは大いに評価したい。成田についても日暮里から成田空港までは30分台を実現している。茨城空港については、都心からの距離は実は成田空港とそう変わらない。首都圏第3空港として都心からのアクセス改善を進め、3空港一体で首都圏への航空アクセス強化を進めるべきであろう。

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