山崎元「ニュースの深層」
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有識者会議の壮大な勘違い!「公的年金の株式投資拡大」がダメなこれだけの理由

2014年02月19日(水) 山崎 元
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「巨大なカモ」に注目する投資家たち

国の厚生年金と国民年金の運用主体であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用方針が、有識者会議にあって検討の俎上に上っており、衆目の見るところ、株式などのリスク資産運用を増やす方向に動きそうだ。

GPIFは目下120兆円を超す資産を運用する世界でも最大級の機関投資家だ。株式市場の側からGPIFの運用方針変更を眺めると、国内株への投資比率(現在の基本ポートフォリオでは12%)を1%引き上げると、直接的に1.2兆円、5%の引き上げなら6兆円の「買い余力」が生まれる。「異次元緩和」を誇る日銀のETF買い入れが1兆円、2兆円といった単位であり、それなりに大きな買い手の登場だ。

また、GPIFが基本方針として株式の組み入れを増やすと、企業の厚生年金基金や地方公務員共済、国家公務員共済など公務員の共済年金も追随することが予想され、年金運用による「買い余力」はGPIFの直接の買いの1.5倍から2倍くらい発生する公算が大きい。他の共済制度や厚生年金基金でも、GPIFがリスク資産への投資を積み増した場合、実質上GPIFの運用パフォーマンスが運用目標となるからだ。

昨年の上昇相場で猛威を奮った外国人による日本株買い越し額は15兆円だった。今回、どのくらいのスケールでGPIFの運用方針の見直しが行われるか、投資家は大いに注目している。また、通常、リスクの大きな資産ほど運用の手数料が高いため、運用業界も新たなビジネスの発生を願いつつ、「巨大なカモ」の肉付きがさらに成長してくれることを願って、状況を眺めている。

さて、公的年金でのリスク資産運用増額には賛否両論がある。

賛成論の論拠は、リスクのある資産はリターンが大きい傾向があるので、公的年金の積立金の運用リターンを高める可能性が大きく、リターンの改善が年金財政を助けるというものだ。有識者会議の座長を務める東京大学の伊藤隆敏教授は、こうした趣旨の発言をされている。

加えて、現在、国債が低利回りで、しかもアベノミクスが順調に推移すると将来利回りが上昇し、損をすることが予想されるので、国内債券の比率を下げて、内外の株式や外国債券の比率を増やしたいという思惑もあるようだ。

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