三橋貴明の「第2次所得倍増計画」
【第1回】 序章 所得とは何か(前編)
~日本人のための強い「日本経済復活」のシナリオ!~

所得創出のプロセス

彼の『現代ビジネス』で連載の機会を頂き、大変、光栄に思っている。

本連載のタイトルは「第二次所得倍増計画」であるため、まずは所得の「定義」について語らなければならない。筆者は連載の第一回及び第二回において、読者に「所得」について完全に理解して頂くつもりである。そのため、第二回まではやや堅い話が続くことになるが、ご容赦頂きたい。

所得という言葉について、我々日本国民は目にしたり、耳にしたりする機会は多いが、正しい定義を理解している国民は少ない。実は、所得について理解すると、経済について相当程度のことが分かってくる。逆に、所得を理解していない場合、経済を理解することは全く不可能になってしまうのだ。

所得とは、経済の中心である。ここでいう経済とは「経世済民」、つまりは、

「国民を豊かにするための政治」

を意味しており、企業の経営の話ではない。あくまで日本国民「全体」の経済、すなわち国民経済の中心が所得という話である。

所得とは、必ずしも「お金」とイコールではない。というより、所得は人間が社会生活を送る上で、お金よりもはるかに重要な概念なのである。

というわけで、所得の定義を説明しよう。

【図0-1 所得創出のプロセス】

まずは、読者が生産者として働く。「働く」とは、ずばりモノの生産や、サービスの供給を意味している。モノ(農産物、製品など)の生産も、サービスの供給も、人間が「働いて、生み出す」ものであることに変わりはない。以下、モノの生産とサービス供給について、まとめて「生産」と表現することにする。

ちなみに、モノとサービスの違いは、簡単に書くと、

「モノは在庫が可能だが、サービスは在庫が不可能」

ということになる。

例えば、建設業は「製造業」と思われがちだが、実際にはサービス業だ。無論、建設業者に鋼材やコンクリート等を販売する企業は製造業になる。建設業とは、鋼材やコンクリート等を仕入れ、それを現場で組み立て、建造物を建設する「サービス」を提供しているわけである。すなわち、建設サービスの「生産」だ。

建設業による建設サービスが在庫可能かどうか考えてみれば、サービスの本質が理解できるだろう。鋼材やコンクリートが存在したとしても、建設業の「組み立て、建造」というサービスが付加されなければ、建造物は存在し得ない。そして、組み立て、建造というサービスは、どこかに「貯蔵」しておき、必要なときに取りだして使うということはできないのだ。

ところで、製造業にせよ、農業にせよ、サービス業にせよ、誰かが「働く」ことがなければモノやサービスは生産されない。まさに、我々が働くことこそが「経済」の基盤なのである。

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