佐藤優のインテリジェンス・レポート「ソチ日露首脳会談」ほか
【はじめに】
佐村河内守氏をめぐる問題をインテリジェンスの観点から読み解くと興味深いです。自らの力を、実力より遙かに大きく見せるのがインテリジェンスの究極目標である謀略(コンスピラシー)ですが。佐村河内氏には、天賦のインテリジェンス能力があります。インテリジェンスの業界用語で、旧KGB系ではレゲンダ(伝説)、CIA系ではカバー・ストーリー(経歴偽装)の技術も卓越しています。
現在私は、
佐村河内守『交響曲第一番 闇の中の小さな光』幻冬舎文庫、2013年
 と
古賀淳也/NHK取材班『魂の旋律――佐村河内守』NHK出版、2013年 
を精読しています。
この2冊は、情報操作(ディスインフォメーション)の技法について学ぶ最適のテキストです。

分析メモ No.69 「ソチ日露首脳会談」

【事実関係】
2月8日午後(現地時間、日本時間同日夜)、ロシアのソチで、安倍晋三首相とプーチン大統領が会談した。

【コメント】
1.―(1)
安倍首相とプーチン大統領の会談は、14時10分から約1時間、少人数で行われ、その後、車で移動し、15時25分頃から16時30分頃まで非公式昼食会が行われた(時間はすべて現地時間、日本時間はプラス5時間)。米国、英国、ドイツ、フランスなど西側主要国の首が、同性愛宣伝制限法などロシアにおける人権問題に対する懸念からオリンピック開会式に欠席したのに対し、安倍首相がG8メンバーであるにもかかわらず出席したことをプーチン大統領が高く評価していることを可視化するために、同大統領は本格的な会談に加え、昼食会を行っ
た。

1.―(2)
会談の冒頭、マスメディアの前でプーチン大統領は、一昨年、秋田県知事が贈った秋田犬の「ユメ」を連れて現れた。これもプーチン大統領が日本に対する好感を持っていることを可視化するための演出だ。

2.―(1)
今後の政治対話については、今秋のプーチン大統領の公式訪日に合意した。ロシア大統領府筋によれば、訪日は10月か11月に行われる。

2.―(3)
今秋のプーチン大統領訪日は、北方領土交渉の正念場となる。

3.―(2)
安倍首相は、日本側の交渉スタンスのハードルを下げている。2月7日は「北方領土の日」であるところ、ソチに出発する前に、安倍首相は北方領土返還要求全国大会に出席し、挨拶をのべたが、その中に北方4島という文言がない。安倍首相の関連部分の発言を正確に引用しておく。

<今大会にご出席の皆さまの思いと熱意を胸に抱きまして、この会場から羽田空港に直行し、政府専用機でソチへと向かいます。そして明日、プーチン大統領と5回目の首脳会談に臨みます。私は日露関係全体の発展をはかりつつ、日露間に残された最大の懸案である北方領土問題を最終的に解決し、ロシアとの間で平和条約を締結すべく、交渉に粘り強く取り組んで参る決意であります。プーチン大統領とも一致したとおり、戦後68年を経過した今もなお、日露間で平和条約が締結されていないことは異常であるといわざるを得ません。元島民の皆さまがご高齢となられ、早急に北方領土問題の解決を図らなければならないことを肝に銘じて対応して参ります。>

「北方領土問題を最終的に解決し、ロシアとの間で平和条約を締結すべく、交渉に粘り強く取り組んで参る決意」ということは、4島の日本への帰属確認を前提とせずに交渉を行ない、解決の出口を探るという「出口論」を安倍首相がとっていることを強く示唆するものだ。

・・・・・この続きはメルマガの佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」でお読みいただけます。

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