施設の解体撤去費用で起債可能に
14年度から新制度老朽・不要な建物除去に助け舟[自治体]

老朽化や合併・統合などで不要になった学校や庁舎、住宅など地方自治体の施設について、総務省は来年度から解体撤去費を地方債で賄うことを認める制度を発足させる。「除却のための特例債」。施設全体の管理計画策定が必要だが、同省は初年度300億円程度の起債があると見ている。取り壊しに多くの経費がかかるために放置され、防犯・防災、景観面で問題になっている〝お荷物施設〟は少なくないだけに、財源難に悩む自治体にとって貴重な助け舟となりそうだ。

同省は特例債創設のために地方財政法改正案を予算関連法案として今国会に提出している。地方債は同法で、後世の人たちも活用できる建設事業や収益性のある公営企業の経費に対してのみ発行できる、と定められている。「世代間の負担の公平」という原則からだ。跡地の利用計画もなく施設をただ単に解体撤去するだけの費用については地方債の発行はできなかった。

しかし、少子高齢化に伴って生徒・児童の減少などから統廃合されて使わなくなった学校や、市町村の合併によって余剰になった庁舎が増加。老朽化した公営住宅や職員住宅、公共施設などは居住者や利用者がいなくなるケースも相次いでいる。これら不要になった施設については民間に売却することも検討されるが、古い建物があると解体、処理費用がかさむため思うように進まず、結局多くの施設がそのまま放置されているのが現状だ。維持・管理だけでも毎年多くの費用がかかるうえ、住民からは「誰もいない古い建物の中では事件があっても不思議ではなく危険」「地震で倒れたり、火事が起きるかもしれない」「見苦しい」などの苦情が寄せられる自治体も多かった。

これまで解体撤去費を一般財源で賄っていた自治体でも、高度成長期に続々と建てた施設がこれから一斉に老朽化するために財政的に厳しくなることも予想される。埼玉県や徳島県などからは建て替えなど新たな利用計画がなくても解体撤去費について地方債など財政的な手当てができるよう要望が出されていた。

同省が昨年9月、全自治体1789団体を対象にしたアンケートでは1786団体(99・8%)から回答があり、解体撤去をしたいという意向がある施設は合計1万2251件に上った。うち3969件(32・4%)は1~2年以内に解体したいという緊急性があり、3273件(26・7%)が数年のうちに解体撤去したいというものだった。築年数は平均で41年、緊急のものは平均42年で、築100年以上のものは18件あった。見積もりがあった1万1645件について、解体撤去費の合計は4039億4400万円、1施設当たりの解体撤去費は3500万円だった。施設別では撤去解体費の総計で最も多いのはごみ焼却場などの廃棄物処理施設で、合計1170億円。学校などの教育関係施設の752億円、公営住宅の375億円が続いた。

老朽化する公共施設、不動産の管理運用について05年度からアセットマネジメントとして取り組みを進めている埼玉県では、県立がんセンターが昨年末に新館がオープンしたことに伴い1975年に建設された本館と南館の建物が不要となった。来年度中には解体する予定だが、取り壊しに18億円がかかると試算している。同県では旧所沢保健所の建物や、築後49年経過し来年春には西部教育事務所などの入居者が移転する予定の川越地方庁舎の建物なども解体することになっており、新特例債を活用するかどうか検討するという。