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第4部 公的な制度と何が違うのか 経験者が断言!「介護保険は安いもので十分」
完全保存版 いらない生命保険、怖い医療保険、ムダな介護保険

「実は母が昨年、骨粗鬆症による圧迫骨折で入院し、先日退院したばかりなんです。いま、我が家には介護ベッドが入っていますよ」

そう話すのは、ファイナンシャルプランナーの池上秀司氏だ。

「いまはものすごく便利なベッドがいろいろあるんですよ。うちは公的な介護保険で選べるなかでは一番いいベッドを入れましたが、レンタル代の自己負担は、月1300円。マットが月200円です。転落防止の手すりなどもとても安い」

こうして公的な介護保険を利用することで、月々の支払いは約2000円に抑えられているという。

「部屋の中に置く椅子式のポータブルトイレも入れましたが、これはレンタルではなく買い取り。定価は2万円台ですが、一度はその金額を払っても、公的な介護保険で9割が戻ってきます。お風呂の段差を解消するオーダーメイドのスノコも作ろうとしているのですが、これも約7万円の費用の1割しか自己負担にはならない。これから我が家に必要になってくるのは、入浴介助など人的なサービスだと思いますが、それも原則、自己負担は1割です。

私は父も、脳梗塞の後遺症があるなか胃ろうを選び、自宅で看られる限界まで看て送りましたが、私自身の実感では、民間の介護保険がどうしても必要だ、とまでは思いませんでしたね」

もちろん、選択肢は多いほうがよい。だが民間の介護保険の場合、50代後半からの男性で、年間60万円程度の保障を受けようとすれば、月2万~3万円台と掛け金が高額になる商品も多い。「だったら貯金して備えたほうがいいのでは」とも思えてくる。

実際のところ、どのくらいのコストでどのような保障を考えていけばいいのか。「焦って結論を出す前に」と池上氏は提案する。

「保険うんぬんの前に、まずはどれくらいの費用で、どういう公的な介護サービスが受けられるかを知っておくと、不安はだいぶ解消されると思います」

実際、公的な介護保険をフル活用すれば、ハード面での負担は抑えられ、低価格で介護環境を整えることができる。痒いところに手の届く商品も存在し、たとえば賃貸住宅に住んでいる人のために、床や壁を傷つけずに増設できる手すりのユニットが、実質月々数百円からレンタルできる。

「実際にケアプランを構築するのはケアマネージャーで、人によって技量もちがう。いいケアマネに出会うには、普段からかかりつけ医に話を聞いたりして、人脈を作っておくことではないでしょうか」(池上氏)

大切なのは、必ずしも高額な保険に入ることではなく、むしろ老後に備えて情報を集め、頼れる人を見つけておくことかもしれない。