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専門家が警告 大ブームの「食事は炭水化物抜き」が一番危ない 糖質制限ダイエットで「寝たきり」が続出中!
週刊現代 プロフィール

冒頭の渡辺さんも、ご飯や麺類などの主食をいっさい抜き、肉をメインとするおかずで腹を満たす食事を続けた。その結果、1年半で9kgのダイエットに成功したのだが、同時に大問題を抱え込んだ。渡辺さんが続ける。

「初めは調子が良かったんです。1ヵ月でお腹回りがスッキリしてきて、体重が5kg減りました。効果覿面だったことが嬉しくて、それから1年半、みっちり糖質制限をした結果、体重を85kgから76kgまで落とすことができました。

当然、体重が落ちれば身のこなしも軽くなるだろうと思っていました。ところが、次第に筋力が落ち、階段の上り下りが以前にまして苦しくなってしまったんです。そんなある日、庭の手入れをしていてトンと尻もちをついたら、それだけで尾てい骨が折れた。入院して検査をしたら、『骨密度が65%しかない。骨粗鬆症です。尾てい骨の圧迫骨折もそれが原因です』と診断されました」

3年前に人間ドックで測った骨密度は75%。ダイエットを経て、たった1年半で10%も落ちたことになる。

このまま長期入院すると寝たきりになるという主治医の判断で、渡辺さんは自宅療養に切り替えたが、いまだに足腰の筋力が戻らず、歩くことができないままだ。

今、このような糖質制限ダイエットによるトラブルが、あちこちで起き始めている。専門家の間でも、糖質制限ダイエットは危険だと警鐘を鳴らす声は大きくなる一方だ。

糖質制限は、なぜ危険なのか。糖尿病の世界的権威で、関西電力病院院長の清野裕医師が解説する。

「人間には一日170gの糖が必要とされています。そのうちの120~130gは脳で消費され、30gは全身に酸素などを運ぶ赤血球のエネルギー源として消費されます。糖質は、生命を維持するために欠かせない栄養素なのです。

糖質を制限してしまうと、代わりにタンパク質を構成しているアミノ酸を、肝臓が糖に作り変えるというシステムが働き始めます。タンパク質を糖に変えられるなら、肉を食べれば問題ないのではないかと思う方もいるでしょう。しかし、人体の維持に必要なエネルギーをタンパク質や脂質でまかなおうと思ったら、毎日大量の肉を食べなければなりません。数kgもの肉を毎日食べ続けることは現実的に不可能です。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、体は自分の筋肉を分解してアミノ酸に変えていきます。結果、筋肉量がどんどん減っていってしまうのです」

認痴症まで一直線

渡辺さんの筋力が落ちた原因は、まさにこれだ。渡辺さんの場合は特に、3食とも主食を完全に抜くというハードな糖質制限を行っていたため、筋肉もどんどん失われていったのだ。なぜ、このような危険な食事制限がまかり通ってしまうのか。