データ改ざん、不正論文が次々発覚!製薬業界と大学「癒着の構造」に切り込んだ2人の岡山大教授の闘い

世界有数の製薬会社「ノバルティスファーマ(以下・ノバルティス)」が、連続して事件を引き起こしている。

既に、降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)については、今年に入って厚生労働省が薬事法違反で刑事告発、同社はホームページで謝罪したが、今度は慢性骨髄性白血病の治療薬を用いた臨床研究でも不正に手を染めていた疑いが浮上。同社は2月6日、社外調査委員会を設置し、真相解明に努めることを明らかにした。

ノバルティス事件が連鎖しているが、ノバルティスだけの問題ではないことは、医薬業界の関係者なら誰でも知っている。薬効を謳い、クスリの売り上げを伸ばすために、製薬会社が大学教授など権威ある研究者を取り込み、臨床データを改ざん、論文を自社の都合のいい形に〝誘引〟することが、これまで繰り返されてきた。ノバルティス事件は〝たまたま〟続いただけである。

この構図を根源的に変えるには、ノバルティス事件を引き起こす製薬業界と大学(研究者)の癒着を解明し、チェック機能を持つ第三者機関を設置、不正を防止するシステムを構築しなければならない。

医学部出身の学長が教授の告発封印

その第一段階の「癒着」を、大学内部から改革しようとする貴重な告発者が現れた。岡山大学薬学部の森山芳則薬学部長と、榎本秀一副薬学部長である。

「大学の研究者が、製薬会社にとって都合のいいように研究データを改ざん、それを根拠に執筆された不正論文は、この大学にもヤマのようにあります」

森山教授がこう切り出して告発した数々の論文不正と、そこに至る岡山大学医学部の一部に広がる産学癒着の構図を、私は2月10日発売の『週刊ポスト』で記事化し、医薬業界に衝撃をもたらした。

製薬会社が望む臨床研究結果が、〝お手盛り〟の形で出てくることに、良心的な研究者なら誰しも違和感を持っていたはずである。

しかし、診療科教授を頂点とする医局制度に支えられた研究者のピラミッド構造のなかで、異論を口にする人はいなかったし、他人の研究に口を挟むべきではない、という研究者心理が告発を阻んだ。

今回、両教授が告発に至るまでには、長い〝助走期間〟があった。「不正があったから告発した」という単純なものではない。

大学院生の博士論文に疑問を感じ、調べたところ、実験も研究もろくに行わず、他人の論文を張り合わせただけの「論文」と呼ぶに値しないものであることが判明した。しかも、そう指導したのは担当教授だった。

調査結果に驚いた森山教授らは、2012年3月初旬、調査委員会の報告書を森田潔学長に提出。処分があるものと思っていたら、森田学長は3月末、森山学部長を呼び出してこう伝えたという。

「この問題は、これで終わりにしたい。これ以上、騒がないで欲しい」

岡山大医学部教授であり病院長でもあった学長が、不正の封印にかかったわけである。そこから両教授の戦いが始まった。

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