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特別インタビュー ケヴィン・メア元国務省日本部長
「アメリカは日中激突をこう見ている」 【後編】

取材・文/ 飯塚真紀子

【前編】はこちらをご覧ください。

日本が軍事力を拡大しているという事実は全くない

---日本と中国・韓国は首脳会談もできない状態が続いています。この状況をアメリカはどう見ているのでしょうか?

元米国務省日本部長ケヴィン・メア氏

アメリカは、首脳会談をすればこの状況を簡単に解決できるとは思っていないでしょうが、会談をした方がいいとは思っているはずです。

首脳会談ができないのは安倍政権のせいではありません。問題は、安倍首相はいつでも会談する用意があるのに、中韓が条件をつけていることです。中国は、日本が尖閣諸島は係争地であることを認めないと首脳会談はしないと言っているし、韓国も歴史問題について条件をつけている。アメリカ政府もこの状況は理解していると思います。

日本は歴史問題を議論すべきではないと思いますが、安倍首相は慎重に対処していると言えるでしょう。河野談話と村山談話は改訂せず、そのまま認めているからです。それなのに、韓国政府は、日本が正しい歴史認識を持たないと首脳会談はしないなどと、おかしなことを言っている。

また私は、日本が、右傾化、再軍事化しているとは全く思いません。それは間違った解釈です。中国としては、日本に防衛力を向上してほしくないのです。なぜならそれは東シナ海での覇権拡大の妨害になるからです。しかし、日本は中国の行動を妨害した方がいい。アメリカも日本も、中国の行動に対して宥和すべきではありません。日米はともに、中国からの脅威に対処できるよう、両国の安保体制の下、その枠組み内で防衛力、抑止力を向上する必要があります。

よって、日本政府が、年末に、防衛大綱と中期防衛力整備計画を見直したのはいい傾向だと思います。しかし、それでも、軍事費を十分に拡大したとは思えません。2001年から、日本の防衛予算は11年連続、毎年削減されてきたからです。昨年、11年ぶりに、防衛予算が2.8%増えたのです。

2014年の防衛予算では、2.2%増の要求がされている。しかし、そのうち2%は、2年間削減された公務員の給料回復に回されます。結果的に、本来の防衛予算はたったの0.2%増の要求となります。これは十分ではない。

それに、5年間の中期防衛力整備計画で、そのまま予算が出たところで、5年後に防衛予算がやっと2003年と同レベルになる程度です。11年間も削減されてきましたからね。だから、誰も、日本が軍事力を拡大しているとは言えないのです。それなのに、マスコミは、日本は再軍事化して防衛予算を増やしていると書きたてる。しかし、そういう事実は全くないのです。

日本の防衛大綱や中期防衛力整備計画、国家安全保障政策はいい傾向だと思いますが、結局は、予算がないと防衛力は向上できないので、もっともっと防衛予算を増やす必要があると思います。しかし、日本は財政環境が厳しい。それでも、経済を発展させて財政を回復すれば、防衛予算も増やせるようになるでしょう。経済発展もエネルギー政策も戦略的に重要だと思います。

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