佐藤優さんに質問:「NHK新会長・籾井氏の慰安婦、領土に関する問題発言をどう思いますか?」---「ひとことで言って論外です」ほか
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」号外(2014年2月5日号)--質疑応答より

安倍総理のソチオリンピック開会式出席で両国首脳の信頼関係が毀損される状況は免れますか?

ソチオリンピック開会式(北方領土の日)に安倍総理が出席の方向で調整が進められているとの報道ですが、これによって安倍首相とプーチン大統領との個人的信頼関係が著しく毀損される状況は免れたと考えてよいのでしょうか。また靖国参拝で黄信号が点った北方領土交渉が凍結、頓挫する事態は避けられるとお考えになりますか。

【佐藤優さんの回答】 2月3日発売の『東京スポーツ』に以下の寄稿をしました。

<1855年2月7日、下田(静岡県)で、日露通好条約が調印され、日本とロシアの間に外交関係が樹立された。このとき択捉島とウルップ島の間に日露の国境が画定された。1981年に政府はこの日を「北方領土の日」に定めた。毎年、東京で北方領土返還要求全国大会が行われ、首相があいさつを行う。

歴史には巡り合わせがある。今年の2月7日にソチ冬季オリンピックの開会式が行われる。安倍晋三首相が、全国大会に出席し、「北方四島に関する帰属の問題を解決し、日露平和条約を締結する」という日本の基本的交渉スタンスを述べると、ロシア世論は「よくもオリンピック開会式のハレの日に、安倍は領土要求なんかしやがって、ケシカラン」と反発する。ロシア人は普段、政府の悪口ばかり言っているが、領土問題になると急に愛国者になる。安倍首相とプーチン露大統領の信頼関係を強化し、北方領土問題を解決するというシナリオが実現不可能になる危険があった。

しかし、安倍首相は知恵がある。全国大会に出席した後、ソチに向かい、オリンピック開会式に出席することにした。米国、ドイツなど主要国首脳が開会式に欠席する中での安倍首相の出席をプーチン大統領が大歓迎することは疑いの余地がない。ロシアのマスメディアも「北方領土の日」に関する日本批判よりも、安倍首相のソチ訪問に焦点をあてる。2月8日にソチで行われる予定の日露首脳会談において、北方領土交渉の環境整備が行われる。

日本外務省幹部も一生懸命に仕事をしている。1月31日に東京で杉山晋輔外務審議官とモルグロフ露外務次官が北方領土問題に関する外務次官級協議を行った。北方領土の帰属問題について歴史的な経緯を話し合ったが、隔たりは埋まらなかった。杉山氏はよく頑張っている。職業外交官(官僚)のレベルでは解決できないので、両首脳の政治決断が必要だという枠組みを作ろうとしているのだ。>(…以下略)

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