ブランドの「行動」からはじまる情報連鎖の仕組み

もはやメディア・リレーションズでは生き残れない」と題して、昨年末からこのコラムで4回に分けて、いまどきのPRパーソンについて書いてきましたが、折しも、コカ・コーラ社がシンガポールで展開したキャンペーンに絡んで、同社のデジタルコミュニケーションのディレクター、アシュリー・ブラウン(Ashley Brown)氏の話が紹介されていました。

●"米コカ・コーラ社アシュリー・ブラウン氏「プレスリリースに終止符を打つ」"

私はブラウン氏と直接面識があるわけではありませんが、同じような問題意識をもってチャレンジをしている人がいるのだなあと心強く感じた次第です。

この超訳では、「プレスリリースに終止符」というタイトルが踊っていますが、大切なことは「本気でシェアしたいと思うような、質の高い2分間の動画ってどんなものだろう」と試行錯誤を繰り返すことでしょう。何よりも、そもそも動画の素材となるようなブランドの「行動」に私は着目します。

昨年末からの私の連載に関して、様々な反応をいただきましたので、いくつかご紹介しながら、少し補足説明をしたいと思います。

環境変化をチャンスとらえて「進化」を目指すべき

「これからはカテゴリー訴求、第3者性ではなく、ブランデッドな物語を」(※参照記事) という点には「同感です」「賛同します」という声をいただきましたが、一方で「そうはいってもそんなにうまくいくの?」「実践しているが、なかなか難しい」という声もありました。

そうだと思います。いま、様々な案件を私が手掛ける中でも、第3者性とブランデッドの線引きやバランスが、いちばん頭を悩ますところです。手前味噌なブランドの自慢話だと確実に"引かれ"ます。自分たちのマーケティング活動と世の中との接点をどう見つけるのか。時事ネタや流行とのマッチングも時には必要だと思います。

大事なのは、最後にちゃんとブランドに"落とし込まれる"こと、あるいはそもそも"ブランドが起点になっている"などといった全体設計です。

補足しておくと、ブランドの物語と言っても"企業"や"事業"としての取り組み、具体的な"商品やサービス"の展開と様々なレイヤーが考えられます。しかも真面目で泣ける話から面白くて笑える話まで、ストーリー開発の可能性が無限に広がります。"ブランド付きの脚本家"になったつもりで、どんなストーリーを描き出すのか、マーケッターの腕の見せ所でしょう。

一つ言えることは、付け焼刃ではうまくいかないだろうということです。少なくとも、ストーリーはそのブランドの根っこにある「考え」や「想い」、あるいは「技術」や「ノウハウ」につながっている必要があるのではないかと私は考えています。

また、「もはや、メディア・リレーションズでは生き残れない」(※参考記事) という話には「本当にそうなのかなあ」「これからもメディア・リレーションズは必要なのでは?」という反応がありました。この点は意見の分かれるところだと思います。少なくとも前述のブラウン氏は「プレスリリースの全廃」を目指しているようですが・・・。

私はメディア・リレーションズ(というかメディアに限らず様々なステークホルダーとの折衝や交渉)はなくならないと思っています。そのノウハウは重要ですし、その勘どころを理解できている人は貴重な戦力です。ただし、それが人との"関係づくり"だと捉えた場合、そのやり方が時代とともに変わるだろうということです。

ですから、コラムについてご意見をいただいた方々にも「いままで培われたメディア・リレーションズのノウハウを、今後どう生かすのかを考えましょう」とお答しました。むしろ、環境変化をチャンスとらえて「進化」を目指すべき、というのが私の意見です。

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