法人減税と「専業主婦優遇廃止」をアベノミクスの「成長戦略」に

ビジネス振興に即効性のある法人減税

1月20日の経済財政諮問会議で安倍首相は、法人減税の効果を検討するよう指示したという。法人税の税収を下げたにも関わらず、経済が活性化してかえって税収が増加した「法人税のパラドックス」と呼ばれる例が近年の欧州にあることが、安倍氏の関心を惹いたようだ。

これは、時宜を得た指示だと思うが、官僚たちが真面目に検討してくれるかどうかが心配だ。

安倍氏はかつて、主として日銀の金融緩和の不足がデフレをもたらし、第一次安倍政権の足を引っ張る原因にもなったことに関連して、官僚や日銀(準官僚のようなものだ)に不信感を持ち、この感情が、金融緩和拡大を主軸とする「アベノミクス」を後押ししたといわれている。

今回も、財務省が法人減税に消極的であることが実は不適切であり、自分は「騙されている」のではないかと感じてくれるようだと、今後の展開に期待が持てる。安部氏は敵・味方の区別に極めて敏感な人とお見受けする。しかも、今回はアベノミクスが一定の成功をもたらした自信があるはずだ。法人税率引き下げに向けてリーダーシップを発揮するかもしれない。

日本の法人税の実効税率は、30%台後半であり、先進諸国の中では米国と並んで高い。欧州主要国は20%台半ばだし、日本が、ビジネス立地競争上意識すべきアジア諸国は更に低い。シンガポールは17%、香港は16.5%だ。

現にそこに立地している企業にとって、法人税率がたとえば10%高いことでビジネス意欲が大きく損なわれるとは思えない。その証拠に、日本と並んで税率が高い米国では、既存の企業でも、新規の起業でも、ビジネス意欲が旺盛だ。

一方、多国籍企業がアジア地域のビジネス拠点をどこに置くかと考えるような場合に、法人税率の差は大きい。日本が競争上意識すべき相手はシンガポール、香港などアジアの先進都市だ。法人税率の差は何とかしたい。

ビジネス面から理想を言うなら、2020年の東京オリンピックで日本が注目を浴びる時までに、日本に新たに拠点を作る多国籍企業に対してだけでも、シンガポール、香港並みの法人税率を適用できるようにしておくと、オリンピックの際の「お・も・て・な・し」以上の効果があるだろう。

多国籍企業のオフィス投資が日本に向かうこと、さらにはそこでビジネスが行われること、雇用機会が増えること、多国籍企業で働く人が日本で消費すること、外国人の来日が増えること、など少なくとも経済面では多くのプラス効果があるはずだ。

また、法人税率の引き下げは、企業にとって純利益の改善を意味するので、企業の株式の理論価値を直ちに引き上げる政策になる。4月に行われる8%への消費税率引き上げが、どれだけのマイナス効果となるかが心配されるところに、法人税率引き下げは有力な経済政策オプションだと言える。

率直に言って、アベノミクスは資産価格誘導政策だ(「だから悪い」と言っているのでない点に注意してほしいが)。為替レート、株価、不動産価格など、先ず資産価格を変化させることを通じて景気を拡大し、マイルドなインフレを目指す政策だ。

法人税の減税は、本来なら有効な成長戦略が登場すべき「第三の矢」に目覚ましいものが何一つない現状で、最もオーソドックスであると同時に、「岩盤規制」と直接対決せずに実現できて、株価には(おそらくは不動産価格にも)即効性のある、強力な手段だ。

ついでにいうなら、法人減税は、是非やるべきだが、シンプルに法人税率の引き下げで実現してほしい。時限措置だったり、手続きや官僚の裁量が増えたりするような投資減税や特別措置などでやるべきではない。この点は、安倍首相が細部を官僚任せにすると、ごまかされそうなポイントだ。

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