雑誌
第2部 上を見ればキリがないけど、これだけは確かめておこう 予算別「満足度」を高める老人ホーム選びのコツ
老人ホームは「格差社会」食事も介護もまるで別物です

意識のズレが格差を生む

「まず、費用の話だけで単純化して言いますと、入居金が1000万円超の物件というのは、スタッフの給与も相応に高く、よい人材を確保しやすい。そういう意味でトラブルが起きるリスクは低いと言えるでしょう」

前出のNPO理事長・山崎氏は、老人ホーム選びの基本について、こう話す。

第1部で見たように、施設によって、入居者の生活の質に天と地の開きがある老人ホーム。さらに、同じ施設の入居者であっても、事前のイメージと実際のサービス内容にズレがあれば、「ここまでやってくれるはずだったのに」と後悔し、満足度に大きな「格差」が生じてしまう。

選択を間違えないためのポイントはさまざまあるのだが、まず気になるのが費用だろう。山崎氏はこうつづける。

「入居金100万円未満の廉価物件では、食事や娯楽設備に期待を寄せるのは難しい。最低限のセーフティネットがあればいい、というくらいに考えるほうが無難でしょう。

医療・介護の面では、廉価でもある程度、安心が確保されている物件もあります。とくに地域でも評判のいい医療法人などが運営している場合は、この点で失敗するリスクは低い」

実は、施設選びで判断がもっとも難しいのは入居金数百万円のクラスだという。

このランクは外見が立派でもサービスが悪いもの、逆に外見は頼りなくともサービスの充実しているものなど玉石混淆だからだ。

「都市部では、300万円程度の入居金だと建物や設備のレベルの高さに期待はできない。その場合、ハード面よりも医療・介護のサポートなど人件費を削らずにソフト面をどこまで充実させているかを見極めるのがポイントです」(山崎氏)

各地の高齢者施設を取材してきたジャーナリストの浅川澄一氏は、介護面での充実ぶりを判断するには、2種類のケアを考慮に入れるべきだと指摘する。

「高齢者のケアには、身体ケアと認知症のケアの2種類があります。身体ケアは機材やスタッフの技術のレベルを見れば、およそ提供される水準が判断できる。判断しにくいのは、認知症ケアのレベルなんです」

認知症は人によって意識が20代に戻ったり、30代に戻ったりと状態はバラバラ。その人の人生、ライフスタイルを丁寧に把握してこそ望ましい認知症ケアが可能になると浅川氏は言う。