「講座:ビジネスに役立つ世界経済」
【第32回】 イエレンFRBはTaperingを止めることができるか?

FRB新議長のジャネット・イエレン氏 〔PHOTO〕gettyimages

筆者は、2014年は世界経済にとって「苦闘の年」になると考えていたが(第29回「来年はどのような年になるか?」を参照)、マーケットの動きは想定よりもはるかに早い(筆者は3月末までは、昨年末の展開が続くと考えていた)。2月初めの時点でマーケットが変調をきたしている。

この時点で、否定する人は少数になったと思うが、マーケットの波乱のきっかけは、米国のTapering(量的緩和政策の縮小の開始)であると考えるのが妥当だろう。「Taperingによる資金の流入額の減少は新興国経済に打撃を与える」との憶測から新興国市場の「弱い者探し」が始まり(アルゼンチンやトルコの通貨下落)、それに中国の景気減速懸念(製造業PMIの50割れ)が重なった。

「如何に早く相場から逃げるか」という投資戦略

筆者はかねてから米国のTaperingは時期尚早だと考えてきた。その理由は、リーマンショック後の景気の回復ペースは、大恐慌後の回復ペースとほぼ同じで、かつ、大恐慌後に米国は量的緩和政策からの出口政策に失敗しているためである。

当時も量的緩和の縮小と解除により、クレジット市場が崩壊し、これが大恐慌に次ぐデフレをもたらした(当時は、低格付け社債の暴落や中小企業向け貸出の急減という形で現れた)。今後もTaperingが粛々と進行するとなれば、新興国市場への投資はかなりのリスクを伴うことを覚悟すべきであろう。

今回のTaperingに関しては、「量的緩和政策の段階的な縮小を意味するものであり、量的緩和自体は続くので、これは量的緩和の持続を意味する」という考え方が主流であった(筆者が普段、友好的に議論をしている、いわゆる「リフレ派」の方々の多くもそのような意見であったように思う)。

だが、(私もそのような立場ではないが)マーケットで日々、相手を出し抜きながら利益を稼ごうと考えている「真面目な」投資家は、Taperingの先に、量的緩和解除、利上げをみているはずである。

そのような状況下では、これまで資産価格を押し上げてきた「流動性」が収縮する(しかも、景気回復で設備投資などの「実需」が増えるのであれば、なおさら、資産市場に流れる「流動性」は減速、場合によっては減少するはずである)という局面を頭に描くはずなので、投資戦略としては、「如何に早く相場から逃げるか」を考えるようになるだろう。

そして、今回は、これらの投資家が、昨年12月のTaperingの開始で、「逃げ場」のタイミングを考え始めていた矢先に、中国などの新興国で景気減速の動きが出てきたため、「逃げる」時期を前倒ししたのではないだろうか。

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